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 栃木県では、かつて「雀郎祭り川柳大会」が宇都宮市で毎年開催されていた。県内ではおそらく一番大きな大会で、ピーク時には、関東近県や福島県などから200名近くの参加者が来てくれていたと思う。私も裏方の採点集計係として、ノート型パソコンとポータブルプリンターを持ち込んでExcelでの点数計算を担当していたことがあった。
 しかし主催者側関係者の高齢化等により大会を存続させることが次第に難しくなり、何年か前に結局中止となってしまった。大会を運営する人間のほとんどが後期高齢者では開催しても実務作業を担うことはもう限界だと判断したようだった。パソコンをこなせる人が誰もいないので仕方のないことでもあった(私はだいぶ前にその役を降りていた)。
 20年以上前のことだが、前田雀郎の生誕百年を記念した大会で、宿題・席題の選を従前の単独選から二名による共選としたことがあった。私はこの企画について新鮮味があって素直におもしろいと感じた。だから披講の時のワクワク感がいつもより増したものだった。
 ところがである。次の年の大会はいつもどおりの単独選にあっさり戻ってしまった。県内柳壇の長老連中が、共選にすると選が荒れると言い出したのである。荒れるとは入選句がばらけるということで、確かに三才・五客・秀作(前抜)の点数合計がうまくまとまらない可能性が出てくる。だから順位付けも同点による同位者が多くなる。大会ではいつも抜句数や受付番号の早い順に並び替えることで同点者の順位付けをはっきりさせてそれを解消させているのだが、共選では合計点数による順位のめりはりが一人選よりはなくなってくる訳である。ある人の選で三才に抜けても、他のもう一人がボツにするようでは興が殺がれると、そんなふうにも感じたようだった。
 私は、共選よって選者毎に抜句内容ががらりと変わる方が断然おもしろくて楽しいと思っていたので、私と真逆の考えで共選方式が潰れてしまったことにひどくがっかりし、栃木県川柳のあまりに保守的な考え方に失望したことを今でもはっきり記憶している。川柳と出合ってまだ数年、川柳が楽しくて仕方がなかった40代半ばの頃だった。共選は荒れて多いに結構というのが、当時からの私の信念と言えるものだったのである。
 だから栃木県の川柳は駄目なのだとも思った。新たなことに挑戦しようとする意気が感じられない。今でも県内の大会を眺めると、十年一日、昔からの同じやり方を懲りることなく踏襲している。毎回同じような顔ぶれの一人選に変わり映えが全く感じられない。それが伝統なのだろうが、よくも厭きないものだと、私の方は既に諦めているのである。そういった大会にはとうに参加していない。
 印象吟なども、これを新たに取り入れて大会の趣向を積極的に変えようと試みる吟社は県内に見当たらない。互選を伝統にしている吟社があったが今はもうなくなった。互選は最大公約数的な句に点数が集中するので、一位になった句を読んでも、無難な作品ではあるが、ハッとするようなときめきに出合えない場合が多いのである。
 選の方式は、少しずつ変えて工夫していかないと必ずマンネリに陥り入選した作品も当然マンネリ化した、新鮮味のないものばかりになってしまう。これでは新たに川柳をやってみようとする若い参加者を惹きつけられない。日進月歩の感覚が、残念ながら栃木県柳壇にはあまりないようなのである。

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