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 私が所属する下野川柳会の例会(投句の部)で、先月「にやける」という課題が出た。担当する選者が送られてきた句箋を自宅で読みながらいざ選を始めると、「にやにや」と混同した句ばかりであった。これに呆れてしまい、途中で選をすることを放棄して句箋の束をそっくり編集部に送り返してきた。本来の意味での「にやける」を詠んだものがほとんどなかった、選のしようがないというのである。
 私はそれに投句していなかったが、恥ずかしながら私自身も「にやける」と「にやにや」は同じ意味だと思っていた。ただ投句するとなれば、必ず辞書をひいて意味を確認するから、そこで初めて本来の意味を知って「にやにや」とは違うことに気づいたことだろう。新明解国語辞典(第5版/三省堂)によれば、
 「にやける」男性の服装・物腰などが必要以上に女性化していて、見た人に思わず、なんということかという感じを与える。
 「にやにや」①声を出さずにひとりで笑うことを表わす、②意味ありげに薄笑いを浮かべることを表わす。
 なるほど勉強になった。ただしインターネット検索でいろいろ調べてみると、文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では、8割近くの人が「にやける」を「にやにやする」と混同していたというトピックスを見つけた。
 8割近くが間違えているなら、課題「にやける」は「にやにやする」と同義と解釈して選をしてもいいのではないかと思った。選後評の欄があればそこで選者としての誤用に対するコメントができるが、その欄がないので、うるさ型の人間からすればプライドが許さなかったのかもしれない。
 「にやにや」と「にやける」の混同について、そう目くじらを立てなくてもいいのではないかと私は思う。
 言葉の意味は日々変化しているのであり、本来の意味を大事にするということは結構なことではあるが、それはあくまでその個人の心の中でそうしてもらいたいと思う。そんなことより、時代の移ろいに対してアンテナを立て、いろいろな言語表現の変化に関心を持つことの方が大切だと考えている。



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にやにやにやける”にコメントをどうぞ

  1. 橋倉久美子 on 2020年10月21日 at 11:29 AM :

    いやー、私も何となく「にやける」と「にやにや」は同じだと思っていました。
    でも確かに、「にやけた奴」というのは、「にやにやした奴」ではないですね。ひとつ賢くなりました。

    新しい『新明解』は何かこの点に言及しているかと思い、第七版を見ましたが、語釈は同じでした。
    第五版にも載っていますが、語源が笑えますね。「男色の意の「若気(ニヤケ)」の動詞化。もと男子が、武事を忘れ、文学・遊芸にふけり、婦女子のように化粧をする意」とあります。
    化粧はともかく、文学にふける男子はにやけた人なんですよ。博史さんも立派なにやけた人です。
    それとこの記述、一読すると「もと」が「男子」だけにかかっているように読めてしまい、「もと男子? にやけると男性が女性に変化するのか?」なんて余計なことまで考えてしまいました。
    よく読んだら、「もと」はその後の部分全体に係っているんですね。「もと国語の先生」としては、「もと、男子が武事を忘れ、・・・」と、読点の位置を考えてほしかったと思います。

    ひょっとしたら、この「にやける」の話、どこかでネタにするかもしれません。
    そのときは、特にお断りもせず博史さんの名前やこのブログも引用するかもしれませんが、よろしくご寛容ください。

  2. 三上 博史 三上 博史 on 2020年10月23日 at 9:22 AM :

    久美子さん、ありがとうございます。
    どんどん拙文を引用してください。どんどんコメントもお願いします(無理しない範囲で)。

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