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 中学生の頃だったと思うが、一筆書きのことを知った。数学、正確に言えば幾何学の世界の話しになる。〇、△、□などは一筆書きで書けることはすぐ分かるが、✡(六芒星)もじっくり考えれば一筆で書ける。+や*は無理である。おもしろいなぁと思った。
 さて、小学校時代の嫌な記憶がある。クラスの女子が病気になり長く休んでいた。何かお見舞い、励ますこと、喜ぶことをしようとみんなで話し合うことになった。千羽鶴を折ってプレゼントすることにすんなり決まった。しかしその後がもめた。宿題として市販の色紙を4等分したサイズでみんなが自宅で作り学校へ持って来ることに決まりかけたのだが、誰かが、市販の色紙では大きさが統一されていないのではないか、一辺が何センチメートルのサイズときちんと決めた方がいい、と提案したのである。これが議論になった。
 私は、色紙の長さをいちいち定規で測って作るのは面倒くさいから4等分サイズでいいのではないかと言い張った。ところが、色紙の規格が統一されている保証はないということで形勢は不利になり私の意見は結局通らなかった。実は以前に、家族で4等分サイズの折り鶴を作っていて、わざわざ作らなくてもその在庫を持って行けると考えていたのである。
 さて折り鶴作成の宿題が出て、みんなが折り鶴を持ち寄った。私は自分の意見が通らなかった不満から、以前に家族で作っていた、サイズの若干異なる折り鶴を持って行った。先生にはそれが分かってしまい、そしてその協調性の無さに呆れられた。
 子供の頃から私は不精なところがあった。何につけ物臭で面倒くさいことが大嫌い。なるべく楽したい。二度手間なんて不経済なことは大嫌い、理に適った最短ルートが大好き、そんな性格であったのである。それで損したこともあるが、得したこともある。なるべく合理的に物事を進めていこうとする思考力が身について、要領のいい人間になって褒められたりしたこともあるのである。
 そんな性格が災いして自己嫌悪に陥った時に必ず思い出すのが、折り鶴と一筆書きなのである。途切れることのない、一度通った道は二度と通らない動線は無駄がない。結果的に一番楽なやり方である。そればかりを安直に考えていた自分の半生(その中に折り鶴の一件もある)に重なってくるのである。
 川柳と出合って、こんなおもしろいものはない、一生続けようと思った。川柳を人生の親友にしようと考えた。だから少なくとも、川柳に対してだけは一筆書きの観念は持っていない。推敲することを厭わないし、何度も繰り返すこと、結果的に無駄骨になることも嫌がったりしなくなった。
 馬齢を重ねてきて精神的にも身体的に衰えてきていることは否めない。物事に対し不精して対処することは、無理や危険が生じ始めていることが分かってきた。来年高齢者の仲間入りをするが、日々の暮らしの中で一筆書きの人生とは少しずつおさらばしている自分に気がつく。

 

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