もう10年以上になるだろうか、宇都宮にある栃木県立美術館へ時々行っている。数か月に1回程度なのだが、必ず一人で出掛ける。
大抵何かの企画展をやっている。まずそれをじっくり見るのだが、個人的には空振りかなという時もある。たまにホームランのような企画に出合うと少し興奮して見ている自分がいる。その後、常設展にも必ず足を延ばす。実は企画展を見終えた後、常設展にある展示物を見るのがもう一つの大切な楽しみなのである。ジョン・コンスタブルの「デダムの谷」、ウィリアム・ターナーの「風景・タンバリンを持つ女」などの西洋絵画、浜田庄司などの益子焼、飯塚琅玕斎などの竹工芸にいつもどおり出合うとほっとする。あるべきところにあるべきものがあるという心地よさ、安心感を感じるのである。
東京の美術館までわざわざ出掛けて、話題となっている展覧会を見たことも何度かあるが、あの人混み、特に休日のそれにはいつも閉口していた。コロナの今からでは考えられない混雑さである。
国宝級の優れた作品を混雑した中で忙しく眺める展覧会と、地味な展示物を落ち着いた雰囲気の中で鑑賞する展覧会の二つがあった場合、どちらに行くかを秤にかけたら、私はおそらく後者を選ぶだろう。だから東京の美術館にはあまり行かなくなった。
美術館独りを慈しむ時間 博史
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