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 父の従弟が我が家の近くに住んでいてパン屋をやっていた。子供の頃クリスマスに近づくと、必ずデコレーションケーキを買いにその店へ行った。
 昭和40年代のクリスマスケーキは生クリームではなくバタークリームが主流だったと思う。濃厚な甘さ、生クリームとは違った適度な歯ごたえ、この旨さは今でも私の脳裡のどこかに焼き付いている。
 そのパン屋にクリスマスケーキを買いに行くのは、毎年12月のクリスマスを迎える前のの日曜日、いつも父と二人で行った。ある年、店のおじさん(父の従弟)はケーキを製造する作業場に私を連れて行き、搾り袋を使って花の形やフリルのような模様のデコレーションを実演してくれた。その見事な職人技にびっくりしたことを憶えている。
 買ってくると、クリスマスイブまでの数日間は、茶の間のサイドボードに置いて飾っていた。生クリームではないので結構日持ちがしたのである。食べるまでが毎日楽しみだった。そしてイブに家族みんなで分けて食べる。残ったら翌日、翌々日に食べた。クリームが少しぐらい硬くなっていても平気だった。
 その後、大人になってからはクリスマスケーキを買って食べるようなことから遠ざかっていたが、結婚して子供が生まれると、やはり子供のために買ってやろうと思いたくなる。
 どんなケーキがいいかと小さかった娘に訊くと、必ずチョコレートの生クリームケーキをねだった。私としては、久しく食べていないバタークリームの味を口に入れたくなるのだが、毎年の娘の要望はチョコレートの生クリームケーキを食べることに変更がなかった。
 そんな訳で、私はバタークリームのデコレーションケーキを半世紀近く食べていない。嗚呼、あの何とも言えない甘さが無性に懐かしい!



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