世の中にはヘビ嫌いの人がたくさんいる。私もその一人だった。
マムシとかの毒を持ったヘビは気をつけなけばいけないが、青大将などは警戒心が強く、人を見たら即刻叢に逃げ込んでしまう。ヘビの方がはるかに人間様を嫌っているのである。
ヘビの怖さは、インド、アフリカ、アマゾンなどに棲息する大蛇やコブラの映像をテレビで見せつけられるから、それにかなり引っ張られているところが大きい。
私も怖がりなところがあって、ヘビ嫌いであったが、ヘビの方がもっと人嫌いであることにはたと気づいたら、少なくとも山道などを歩いていて過剰なほどに怖がらなくなった。
川柳を詠んで、あらゆる事象、森羅万象と言ったら大袈裟かもしれないが、とにかく何でも句の題材にしようと考え始めると、すべての対象を擬人化してその気持ちに思いを馳せたくなるのである。
ヘビに対してもやたらめったら怖がるのではなく、ヘビの気持ちを考えると人を嫌がる臆病さが憎めなくなってくる。首に巻いてペットとして飼うまではいかないが、親近感を持って句の題材にしないのは勿体ない話しである。
ヘビ嫌いヘビの方でも人嫌い 博史
出くわした蛇には何も罪は無い 博史