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 いきなりカミングアウトすると、私は衣食住にあまり興味がない。だいぶ前からそう思うようになっていたのだが、なかなか人には言えなかった。何故なら、そんなことを言い出したら、みんながいろいろな話題で盛り上がっている時に、一人興醒めさせるようなことになりかねないからである。しかし60歳も過ぎると、そのことを隠していると自分に気づまりするような感じになったので、自分が無趣味で面白味のない人間であることを白状する次第である。
 酒を時々飲むが、ビール、日本酒、焼酎、ワイン、何でもOKである。蕎麦とうどんはどちらも好きである。肉ばかり食べていれば魚が食べたくなるし、そもそも食べ物は空腹ならみんな旨いといつも素直に感じている。着るものはどんなものでも着る。選んで着るこだわりはあまりない。ブランド品だからといって有り難がることもあまりない。今住んだいる家は死んだ親父が建てたもので築半世紀以上とかなり古くなってきたが、新築してモダンな住まいにしようとも思わない。そこそこに満足している。豪邸に憧れたりする気もさらさらない。
 こういう人間と会話をしたら多くの人はつまらないと感じるだろう。迷惑をかけたくなかった。だから人に話しを合わせていたところがあったのである。
 その一方で、息を吸って吐くようなくらい川柳を詠むことが生活の中に浸透しているので、世間様の衣食住全般を観察することについては飽きないのである。つまり自分についての衣食住にはあまり興味はないけど、他人の衣食住は気になるのである。少しいやらしいかもしれない。人の好みについて、傍観者としていつも冷ややかに中立的でいられるので観察力は磨かれる。これは作句のうえでも有利に働いてくれている。
 もっとも、俗世間のことにほとんど関心がなくなったら後は仙人にでもなるほかはない。川柳も詠めなくなるだろうが、これは私にとっては相当悲しい人生となってしまうだろう。致命的だ。



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川柳と衣食住”にコメントをどうぞ

  1. たむら あきこ たむら あきこ on 2020年4月23日 at 7:44 AM :

    ふぅん。
    なんとなく、共感、笑。
    まだ仙人になるのは早いと、自戒しているのだけれど。
    傾向としては、似たところがちょっとあるのね。
    衣住は、とくに何だっていいかなと。
    食だけは、ちょっと贅沢といわれるものの味見くらいはしてから逝きたい。
    お酒も、覚え始めたので、一応の味見くらいはしておかないと。
    あれ?
    これじゃまだまだ十分に俗人よね~、笑(ほっ)。

    • 三上 博史 三上 博史 on 2020年4月23日 at 8:50 PM :

      ありがとうございます。
      「お酒も、覚え始めたので、…」って、あきこさん、最近、酒を飲み始めたんですか? まさか!
      私の方は、40年以上、酒を飲んで酒に飲まれての人生みたいなところがあるので、ほんと酒はアルコールが成分として入っていれば特にこだわらずという感じです。もっとも尿酸値を気にして、生中よりまずはハイボールをとりあえず注文することが最近は多いですが…。

  2. 橋倉久美子 on 2020年4月24日 at 10:43 AM :

    「衣食住にあまり興味がない」とおっしゃるから、どんなことかと思いきや、
    いっしょいっしょと大いに共感しました。

    まず、衣ですが、好みはあるけど、そんなに凝ることはありません。
    私の着ているもののほとんどは、もらったものか、通信販売で買った安いもの。
    礼服なんか、30年以上着ています(我ながら着られるのがすごいと思うけど、さすがに苦しくなってきた)。
    食も、ぜいたくはしませんね。
    勤めているときは給食があったので、お代わりして食べていました。
    3月に臨時休校になったとき、何が残念って、給食がなくなったこと……。
    お酒ももっぱら家飲みで、第3のビールの後、焼酎、日本酒、ワインのどれか、という感じです。
    住は、夫の親が建てた家に住んでいましたが、築50年を越えてずいぶん傷んできて、
    このままずっと住むのは難しいという判断で、木造平屋の中古住宅を買いました。

    まあ、私の場合、興味はないけどそれなりのこだわりはありますけどね。

    • 三上 博史 三上 博史 on 2020年4月27日 at 11:21 AM :

      ありがとうございます。
      久美子さんとは作風が似ていると思っていましたが、根底に衣食住の価値観の共有があったとは、びっくり仰天!

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