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 大学に入学して東京での下宿暮らしを始め、初めてヒゲ剃りというものをスーパーで買った。今でもはっきり憶えているのは、18歳ではまだ大したヒゲではなく、シェービングフォームなどという洒落たものは使わず、固形石鹸の泡を鼻の下や顎に塗り付けて剃っていたことである。
 ヒゲ剃り本体のホルダーと呼ばれるものはシックインジェクターという商品だった。替え刃は二枚刃が試供品のように1枚入っていたが、これが使い終わると一枚刃の10枚入りを買った。ヒゲの量がまだ少ないので一枚刃で充分うまく剃れたのである。貧乏学生だったので、安い一枚刃の方を選んだという経済的な事情もある。
 さてこのホルダーは、50年近く経った現在でも実は壊れず使い続けているのである(1番目の写真)。刃の角度の調整が出来る目盛り(8段階)が円形に付いていて、深剃りしたい場合は大きい数字へ回せば簡単にそうすることが出来る。また何度も使って剃り具合が鈍くなっても、やはり目盛りの数字を大きい方に持って行けば、しばらくは何とかうまく剃れようになる。
 毎朝使ってもとにかく壊れない丈夫な代物なので、ずっと愛用していた。しかし社会人になってヒゲも濃くなってくると、二枚刃の方が剃り具合がいいことに改めて気がついて、割高であるがそっちの方に乗り換えた。
 ところがホルダーの生産がいつの間にか終了し、替え刃だけの販売になっていた。それを知った私は某ドラッグストアで替え刃の買い溜めをした。10年以上前のことである。いずれ替え刃の販売も終了となるだろうから、購入した替え刃はなるべく長持ちするように1枚ずつ丁寧に使っていた。
 その後いよいよ我が家の替え刃の在庫が無くなり、件の某ドラッグストアに行くと、もう替え刃は売られなくなっていた。いよいよダメかと諦めかけていた頃、別のドラッグストアの売り場で偶然にもこの替え刃を発見した(2番目の写真)。当然すぐに買ってしまった。スマホで検索してみると、いろいろなネット通販などではまだまだ替え刃が購入できることを知った。
 更に調べると、2001年頃にホルダーは既に生産終了したようだった。しかし2023年の現在に至っても替え刃だけは依然として製造販売されている。うーん、本体がもうとっくの昔に売られなくなったというのに、替え刃という部品だけがさらに20年以上も店の棚に並んでいるということは、それだけのニーズがしっかりあるということであろう。本体に対するニーズは本当に無くなってしまったのか。個人的には些か疑問なのである。

 

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