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 前回は高校2年の時の話しだったが、今回は3年生の時のバカバカしい逸話である。
今と違って当時は、3年生になって進路(進学)のコース分けがあった。私の選んだのは私立文系コースだった。東京の大学にどうしても行きたかった。地方の国立(地元)大学を志望して受験する余地は全く無かった。親元を離れて好き勝手に一人暮らしをすること以外は考えられなかったからである。大袈裟に言えば、それが日本経済の高度成長期の若者(高校3年生)の多数派だったと思う。
 3年になるとカリキュラムは受験教科(国語・英語・社会)が主体になるのだが、そればかりだと授業の時間が余ってしまうので、数学とは縁のない私立文系コースというのに、何故か余技のように数学Ⅲの授業があった。先生も仕方なく教えている感じがしていた。教わる生徒も当然仕方なく聞いている、いや聞いているふりの授業が続いた。
 中間だか期末だか、いよいよ定期試験が始まった。みんな数学Ⅲの試験勉強はしていない。やっても授業を聞いていなかったので理解できないことばかり。2年まではきちんと授業を受けなければならないので、定期試験の数学ⅡBの出題内容は、オードブルみたいなちょっと考えただけで解けられるような小問題などはなく、いきなりメインディッシュの難しい設問をいくつか出させる形式だった。だからどれも全く解けず0点を取る生徒もいた。さて、3年私立文系コースの数学Ⅲの定期試験はどんな内容だったか。
 今でもはっきり憶えているのは、数字の答えを書かせるのではなく、「○○の定理」という問いの○○という言葉を書かせる設問があったことである。試験の範囲は勿論予め決まっているが、その範囲の中で何とかの定理と呼ばれるのは「チェビシェフの定理」しかなかった。その定理がどんなものなのか分からなくても、言葉を入れるだけだから、もうこれに決まっている。0点防止問題でもある。私は答えを記入しながら思わずにやりとしてしまった。
 テストが終わって休み時間になると、生徒の間で早速「チェビシェフの定理」の話題になった。数学問題で言葉を問う設問があったことがみんなに大うけだった。そしてそれ以上にバカうけだったのは、それが記入できない奴がいたことだった。教科書の試験範囲の中で、定理と言えばこの言葉しかないのにそれが書けない。みんな大笑いしてからかった。
 それから半世紀近く経ち、インターネットで何でも分からないものを調べられる時代になったので、ふと思い立って「チェビシェフの定理」も一応検索してみた。当然ヒットしたが、該当ページを読んでもちんぷんかんぷん、さっぱり何のことか分からなかった。まっ、これは当たり前の話しであるが…。



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