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 子供の頃から言葉遊びが好きだった。新聞の広告やテレビのコマーシャルのキャッチ―な言い回しなどに対して、いつも敏感に反応した方である。漫才やコントをやっているテレビ番組で、当意即妙な言葉の掛け合いがなされる場面が出てくると素直におもしろいと感心したものだった。また、駄洒落もよく言って小学生の頃から周りを笑わせていた。
 この性癖は高齢者へ仲間入りした今になってもあまり変わらない。おそらく死ぬまで駄洒落を言い続けるだろう。言葉遊び的なことで何か閃けば、もちろん懲りることなく川柳の題材にも取り入れる。
 中学生の頃、地元栃木のラジオ局で、リスナー(当時はテレビの「視聴者」に対して「聴取者」と呼んでいたか?)からの投函ハガキによるリクエスト曲を流す番組が夜更けに放送されていた。東京からの全国放送のラジオ番組と違って、ローカルなのでハガキの枚数が少ない。そのため、リクエストが通ってハガキの文面を読まれる確率がかなり高かった。中学生や高校生がリスナーの主体で、確か洋楽と邦楽が平日交互に流される番組だったと思う。当時の私は洋楽にかぶれていて頻繁にハガキを書いてはせっせとポストに入れていた。自分の名前が読み上げられただけで興奮し、翌日クラスで話題になったものだった(素直に嬉しかった)。
 ラジオネーム(筆名)が「ドスケビッチ・オナゴスキー」というハガキが、その番組でよく読み上げられた。栃木県内のどこら辺りの人(おそらく中高生)だったか忘れてしまったが、その名前に当時の私は思わずのけぞるほど感心してしまった。実に上手い! こういうギャグが思いつく人を私は素直に尊敬してしまうのだった。
 それから高校生になり、3年の受験生の頃、大学受験ラジオ講座(旺文社)をやり始めた。ラジオ講座テキストは毎月購読するのだが、各科目の問題と解答・解説の他に懸賞クイズが毎回出されていた。正解すると抽選で何名かに賞品がプレゼントされる。私は応募したことなどなかったが、当選者は翌月号か翌々月号あたりに氏名と都道府県名、第一志望の大学名が発表(記載)される。大学名は国公私立いろいろな名前が載る。ある時、それらを漫然と眺めていると志望大学名が「六波羅短大」と記された当選者の名前があった。
 これに度肝を抜かれた。受験生なのによくこんな洒落が思いつくなぁと感服した。毎日、受験科目の日本史を勉強していた。鎌倉時代に起きた承久の乱と言えば「六波羅探題」を押さえておかなければならない。これに引っ掛けて「六波羅短大」と記して第一志望にするとは…、うーん当時18歳の私には思いつかない発想だった。同じく鎌倉時代には鎮西探題というのもあった。二番煎じで私は「鎮西短大」を思いついたが、これはあまり大したことではない。六波羅短大には完全に負ける。どこのどなたか全く承知していないが、今でも六波羅短大と記した受験生は偉いと思っている。どこの大学へ入ったのだろう。



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