日刊ゲンダイの挑戦者シリーズで、市ヶ谷の日本棋院まで行って、
石田芳夫九段(元名人)と打ったことがある。4子置いて玉砕した。
まあ普段から、暗闇で棍棒を振り回すような玉砕的な碁を打っていた。
日本棋院三島支部へ猛者が来たとき、誰も勝てなかったが勝った。たまたまその棍棒が当たった。
攻め気の強い碁は、攻めれば逃げてくれるという思い込みがある。逃げてくれると主導権を握れる。ところが知らん振りをされて、どうぞお好きなようにと手を渡されると調子がつかなくなってしまう。相手の言いなりになっては勝負にならないことを強い人ほど知っている。
石田芳夫元名人の、した手ごなしは天下一品で、プロも舌を巻くほどで、県代表のアマクラスでも3子ではほとんど勝てなかった。
(命まで賭けるなら、「井目風鈴」なら乗ってもいい。)
日刊ゲンダイは「中前さんは最後まで突っ張っていた。」「おもしろい碁」だったといって、平成8年元旦から一週間その棋譜を掲載した。その棋譜は今も残して有る。