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 平成30年3月から読売新聞とちぎ時事川柳の選を担当している。これは委託契約で毎週決められた曜日にPDFの添付ファイルのあるメールが必ず送られて来る。毎回の投稿件数はハガキ・Fax・eメールの合計で70~80件。多い時は100件を超える時もある。うち6、7割はハガキである。すべてが担当者によりPDF化されている。句数を数えたことはないが、おそらく200句は超えているだろう。受託した私の方は、契約内容どおり期日の曜日までに、ワープロに打ち直した選の結果を返信しなければならない。
 最初は慣れなくて戸惑ったが、何度も繰り返すうちに要領が分かっきて3年も経ち、毎週の日課としてすっかり定着している。
 時事川柳は賞味期限があり、それを過ぎると面白味が半減する。1週分の掲載についてまとめて選をするからタイムリー性に欠ける場合も出てくる。やはり鮮度が命の魚介類みたいなところが時事川柳にはある。東京本社版の時事川柳の方はホームページに応募フォームがあり、毎日選をして速やかに掲載しているからそういうことは少ない。鮮度に関しては申し分ない。これは素直に羨ましい。
 時事川柳の愛好家というのは既存の吟社や結社に所属していない方が多く、自己流的な詠み方をしている場合がよく見受けられる。基本である定型を重視していない。特に平気で中八・下六の字余り句を詠む。時事吟は世相を踏まえて詠むので、新語や流行語に敏感である。だからそれらを詠み込もうとするとどうしても字余り、あるいは字足らずの破調にならざるを得なくなる面もある。
 そこら辺りはいつも大目に見ているのだが、偶に東京本社版の作品と比べて遜色のない佳句に出合うと、選の結果を入力しながら、思わず上手い!と感心する。
 1週分(火曜から土曜に掲載される5日分)の選は1回分としてそれぞれ5句を選ぶのだが、トップに載せる秀逸句には選評として七七、十四音の付け句を添えている。これは慣れないとなかなか言葉がうまく浮かばない。しかしコツを覚えてくると、選者としての楽しみにもなってくる。どう付け句を詠んで添えてやるか悩ましい時もあるが、満足する言い回しがうまく思い浮かぶと快感になる。いい句が読めた時と同じである。選と付け句が一応出来上がるとその日の作業は終わりとなるが、私は翌日の午前中、ワープロに転記した入選句が間違いないか一通り確認して、改めて付け句の方もこれでいいのか見直してみる。そして少し弄って訂正したりする。いや、付け句を改めて見直して別の言葉に変えた時も快感である。もちろん自己満足の世界ではあるが、納得がいくまで付け句を考え抜く訳である。
 選者としてのやりがいはこの付け句の付け方にあると言っても過言ではない。選だけでは欲求不満。付け句というコメントを書いて選はうまくまとまるという感覚なのである。
 いつまでこの選をやり続けるのか未定であるが、週に1回の作業は1週間のサイクルにめりはりをつけていることは確かである。



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