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今日は雅号の由来について。

「木立時雨」という雅号は、実は本名を逆さに読んだものだ。

千田康司(ちだこうじ)を逆さに読むと「じうこだち」。
これを何度か唱えているうちに、じうこだち、じうこだち、じう木立時雨――となった。

ただ、「じう」という呼び方は、母音で終わるせいか、呼名として声に出すと呼びにくいし、聞き取りにくい。そこで川柳マガジン句会で相談し、「しぐれ」と呼ぶことにした。

「自然」で「自由」な感じがして、なかなか気に入っている。
使い始めたのは震災後だから、もう十年ちょっとになる。

ところが、公募川柳では作句スタイルを変えているので、別の雅号を使っている。
そのほかにも、私はいくつか名前を持っている。

代表的なのが、アコーディオン弾きとしての「アルチュール千田」。

私はよくミスタッチをするので、師匠から、
「一回間違ったら一万円。それくらいの緊張感を持って弾きなさい」
と言われていた。

もちろん、本当に一万円を師匠に払えという意味ではない。
その金で酒を飲むなり、好きにしろという話だった。

その結果、ミスタッチ貯金はいつの間にかひと財産になった。

積み上がった金を眺めながら反省して酒を飲んでいるうちに、アル中。
つまり「アルチュール千田」というわけである。

この話は、人にはあまりしてこなかった。

聞かれれば「想像にお任せします」と答えるか、詩人アルチュール・ランボーの『酔いどれ船』から取ったとか、好きな作曲家アルチュール・オネゲルから取ったとか、適当に答えている。

雅号の由来など、一つである必要はない。

もう一つ、ソウルバンドで使っている名前がある。

このバンドでは、メンバーそれぞれが「リングネーム」と称する名前を持っていて、私は「ブライアン千田」。

これは、ロキシー・ミュージックのメンバーで、アンビエント・ミュージックの先駆者でもあるブライアン・イーノ(写真)から取った。

大学時代に心酔していて、彼が来日したときには、記者会見場にまで潜り込んで話を聞いた。

この名前が一番古い。使い始めて、もう四十五年になる。

ほかにも、川柳や音楽とは関係のないところで、勝手に呼ばれている通称がいくつかある。

ただ、それまで書き始めるとキリがない。

なんと呼ばれようが、「おれ」を示すシグナルであれば、それでいいと思っている。

名前が増えるほど、自分が分散していく。

いろんな名前で呼ばれているうちに、人としての輪郭が曖昧になり、最後には透明になる。

そんなのも、悪くない。

 

 

多数の名いずれ無名の木偶の坊             木立時雨

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“雅号の由来”にコメントをどうぞ

  1. このみ on 2026年10月2日 at 8:49 AM :

    こんにちは
    はじめてコメントを入れさせていただきますが、「木立時雨さん」のお名前はあちらこちらで拝見しており、とても知らない人と言う感じではありません。笑
    ワタクシも投稿を始めてから20年と少しになりますが、これまで100くらいの名前を使ったと思います。その時々のもありますが、気に入ったネームのときはけっこう長く使っていたこともあります。今使っているネームも3年くらいにはなります。色々な場所で自分だけが楽しんでいるネームです。尚、このコメントのネームはコメント専用です。

    • 木立時雨 on 2026年10月2日 at 1:52 PM :

      このみさん、コメントありがとうございます。
      そんなに悪名が轟渡っているとは知りませんでした(笑)
      いずれ棺桶に片足を突っ込んでおり、炎上しようがどうでもいい立場になりましたので、私の雅号もきれい過ぎて困っているかもしれません。
      コメント専用ネームとのこと、どこかでお会いしましたらお声がけください。

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