
いつかは来ると思っていたことが、ついに来た。
過去に発表された句と、まったく同じ句が投句されたのである。
最初に新聞社から連絡があったのは、掲載前。私が秀逸に選んだ句に類句がある、との指摘だった。
私は、類句・類想句であっても、発想の原点と着地点が異なれば許容範囲だと考えている。今回も、その程度の類似だろうと思った。
念のため自分でも調べてみた。すると、今回の投句と一字一句違わない句が、過去の「川柳マガジン」で佳作になっていた。
びっくりである。
時事性もあり、私は秀逸に選んでいた。だが、改めて読み返してみると、確かにどこか既視感がある。
当然、ボツである。
代わりに別の句を秀逸に選び、句評を書いた。
こんなことがあっても、句選は楽しい。
佳句と佳句の間で順位をつけるのに頭を悩ませることもある。投句が多すぎて苦労することもあれば、逆に少なすぎて困ることもある。
それでも、どんな句が送られてくるのかというワクワク感には代えがたい。
新鮮な発想との出会い。
洒落た表現との邂逅。
それらを自分の感性で選び、世に紹介する歓び。
選ばれた句を、評とともに衆人の目に触れさせる。作者にとっても、選者にとっても、幸せな仕事だと思う。
「選は創作なり」とは虚子である。
人の句を選ぶこともまた、ひとつの創作なのだ。
自分も相手も幸せにする「句選」は、なかなか佳き仕事である。
句選にも山谷あって佳景あり 木立時雨
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