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大正時代から百年以上続いてきた、石巻市旭町の「野菜仕掛け物祭り」が、今回を最後に幕を閉じるという。

友人が仕掛け物を作っていることもあり、見に出掛けた。

この祭りには、収穫への感謝と、お地蔵さまへのお供えという意味がある。かつてこの一帯は船乗りたちが遊ぶ郭街だったらしく、水子供養の意味も込められているらしい。

車両通行止めにした通りを歩いてみると、野菜で作った仕掛け物の数々が目を楽しませてくれる。

写真の蓮の花は、玉ねぎと紫玉ねぎ。写真には収められなかったが、ゴボウで作った熊本支援の募金箱やナスのくまモンもあった。野菜で形を作るだけではない。

そこには、世の中へのまなざしと、ちょっとした笑いがある。社会性とユーモアを野菜に託すところなど、川柳にも通じるところもあるかもしれない。

しかも、遊び心そのものが支援になる。こういう祭りは粋である。

友人の班が作ったのは「銀河鉄道」。

右下のミョウガとオクラが、その列車を見送っている。煙は大根とトウモロコシのヒゲ、動輪はレンコンとゴボウでできている。写真では分からないが、列車の中のランプが点滅していた。

そのとき、折しも朧月の下を石巻線の電車が、すぐそばを駆け抜けていった。

百年以上続いた祭りにも、とうとう終着駅が来てしまった。

野菜を作る農家もいなくなり、材料を集めることさえ難しくなった。物価高で材料費の負担も増した。高齢化や人手不足も重なり、祭りを支える人がいなくなってきたという。

仕掛け物を作る人も、野菜を育てる人も、それを見に来る人も、少しずつ歳を重ねていく。

この祭りが百年以上見送ってきたもの・・・

生を得ることなく消えていった水子。そして、幸運にもこの世に生を受けた私たちも、いつかは一人でこの世を去る。

けれど、本当は誰も一人で死ぬのでない。

土に育まれた野菜も、虫も、鳥も、名も無い人々も。

生きとし生けるものすべてが、静かにその人を見送っている。

ほら見てごらん、野菜の銀河鉄道が朧月の向こうへ去っていく。

 

星になる水子見送る野菜たち            木立時雨

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