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 川柳大会の入賞方式には、概ね三つのやり方がある。
 一つ目は伝統的な方法で、いわゆる前抜・五客・三才の入選句を点数化(一般的には1点・2点・3点とするものが多い)して、その合計点で上位の者に賞(楯や賞状)を与えるものである。同点にならないように配慮して、点数に差別化(開き)を設ける場合(例えば1点・3点・5点)もある。
 二つ目は入選作品のうち優れたもの、特に優れたものとして選ばれた句に対して、準特選(2から3句程度)、特選(大抵は1句)の賞を与えるものである。それ以外の句は点数化されないので、単に入選しただけの句ということになる。
 私は兼ねがね、前者は衆議院選挙における比例代表制、後者は小選挙区制と同じようなものだと思っていた。点数が合計されてその得点に応じて(比例して)賞が与えられるのが前者である。後者は、いくら入選しても特選や準特選にならなければ賞はもらえない、言葉は悪いが、前抜きはいわゆる「死に票」に似た入選句になる訳である。
 前者は点数の積み重ねなので、参加者の実力が素直に反映されるとも言えよう。裏を返せば、実力のある者が入賞者の常連になりやすい。顔ぶれが決まってくる嫌いがある。しかし合点制は客観的な評価に近いとも言える。前抜きでもいいから選者にいくつも抜いてもらって結果的に入賞点数に届けば嬉しいものである。また点数を効率よく獲得したい野心から割のいい三才になるべく入るよう、自分なりの計算を働かせていわゆる役物狙いの句を詠もうとする輩も出て来るだろう。点取り虫が競う世界なので、最後の最後で合計点数の逆転劇が生まれるおもしろさもある。
 後者は、前抜きでいくつも入選して点数的には高得点になったとしても、特選句や準特選句に抜けない限り賞はもらえないことから、課題に対して選者好みの当て込み句を作ろうと色気を出す人もいるだろう。また選者と作者の波長が合って特選になった訳であるから、それ以外の参加者にはあまりその句の良さが伝わらなこともある。なんであんな句が特選なの?と大会をしらけさせる場合もある。これは雑詠の選でよく経験することである。選者の川柳観・価値観が選に如実に反映され、最大公約数的な視点がなくなってしまうからである。さらにそれが共選となると、入選・特選作品がばらけてしまってまとまりのない印象を与えてしまうこともある。
 小選挙区比例代表並立制に似たようなものになるが、この二つのやり方を併用したやり方を取っている大会もある。これが三つ目の方法である。双方のメリット・デメリットをうまくカバーすることになるので、参加者全員が素直に納得することになるかもしれない。しかし、大会で一番輝かしい成果を収めた入賞者は誰かと考えた場合、二つの観点から評価されることとなり、少し焦点がぼやけることとなる。
 私のことについて言えば、最近は雑詠専門であまり大会には参加していない。大会の興奮と感動を味わうことが少なくなってきた。賞を獲得すれば満足するという、勝てば官軍負ければ賊軍的な雰囲気があまり好きではなくなってきたこともある。でも偶には大会に参加している。
 念のため最後にお断りしておくが、特選・準特選にならなかった入選句を過激にも「死に票」などと喩えたが、私個人は、特選だから、三才に抜けたからイコール秀句だという認識はしないようにしている。前抜きの入選句の中に自分なりに素晴らしいと感じた佳句を見つけて惹かれ、そちらを私の個人的な特選句としてずっと大事にして記憶の中に留めておくことはしばしば経験している。

 



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