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 キャッシュレス社会が進行し、私も時流に乗ってカード払いやスマホによる電子決済をするようになった。簡単便利でしかもポイントが付くお得感がある。利用者向け限定クーポンが発行されるなどの特典もある。
 当たり前のことだが、キャッシュレスで財布の中身がなかなか減らない。だから万札を何枚も入れておく必要性もない。面倒くさいのは、現金支払いだけしか受け付けしていないお店で、一万札を出して千円札や小銭のお釣りをたくさん受け取った時である。財布が紙幣や硬貨で膨らんでしまい、そしてそれらを使うチャンスがあまりないとそのまま膨らんだ状態で財布を持ち歩かなければならない。実に厄介である。
 しかし現金で支払うことのメリットもある。「指先の感覚について | 三上博史ブログ (shinyokan.jp)2022年10月15日」で書いたことでもあるが、指先を使ってお札を出したり、いろいろな小銭を数えたりする触覚が脳を微妙に刺激するからである。これはボケ防止になる。認知症のテストでも小銭を数えて勘定できるかどうかの項目がある。今は亡き老母が病院の外来を受診した際に試されていたことを思い出す。なお老母は、90歳を過ぎてもしっかり勘定することができていた。
 財布の中に万札や千円札などが何枚仕舞われていて、それを何枚取り出した。小銭はこのように使った。例えば、980円の買い物で千円札を1枚渡したのではなく、それを1枚と10円硬貨を8枚渡して(合計1,080円)、硬貨100円のお釣りを受け取った。これで財布の中で嵩張っていた硬貨が減って軽くなった。そんなやりとりをすると、これはちょっとした頭の体操をしたようなもので、僅かだが印象付けられて記憶に残る。キャッシュレスではこんなやりとりは全て省かれる。
 お札や硬貨のやりとりは損得に直結するものとして、こんな金額の商品を買ったのだということに関連づけられて脳に少しでも刻まれる。外出していろいろな店を梯子した場合、財布の中身の具合が少しずつ変化していくので、それは消費行動を振り返る際にも役立つ。
 キャッシュレスはこれらのプロセスが一切省かれるので、家に帰ってやることは、例えばクレジット払いのレシートを確認する程度だけとなる。買い過ぎたと反省しても後の祭りである。うーん、便利になることは頭の働きを確実に鈍くさせるのだ。高齢者の脳は誰でも例外なく老化していく。それに拍車をかけるキャッシュレス社会なのである。
 最後に、つい最近経験したことを記しておく。滅多に会うことがない文芸仲間との宴会がある所で開かれた。大盛況で終わり、かなりの人数が残って別の居酒屋で二次会が行われた。これも大変盛り上がった。しかし中座しなければならない所用が私のLINEに入った。やむなく自分が飲んで食べた分の勘定(精々2~3千円程度)を隣席の人に預かってもらって帰ることにした。ところが財布を開けたら万札しか入っていない。今はどこの店でも防犯上お札を細かく両替してくれない。困った。いや、正確にはあまり困ってはいない。酔いが回って既に気持ちが大きくなっていたのである。気前よく1万札を渡して立ち去った。私は若い時分から酒に酔うと、心の箍が緩んで太っ腹になるところがある。毎日節約志向でやり繰りしながら年金生活を送る身になっているというのに、その悪い癖が久しぶりに出てしまった。翌日ちょっぴり後悔した次第である。そして今後は千円札も数枚は必ず財布に入れて置こうと少し反省した。

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