栃木県人は、会話の中で言葉にアクセントをつけない。雨と飴、箸と橋と端はすべて同じに発音される。
大学に入って東京に出て来た時、周りの人間が言葉のアクセントの話しをしていたことがあったが、それに耳を傾けながら何のことかさっぱり分からなかったことを記憶している。
テレビのアナウンサーが言葉にきちんとアクセントをつけて話しているのを聞いても、アクセントのない栃木県で生まれ育った私には、何がきちんとしているのか、そのもっともらしい発音を理解できなかった。正直に言うと、60歳を過ぎた今でも私は言葉のアクセントを完全には理解できていない。
次に栃木県での言葉の発音についてさらに厄介なことを言えば、「い」と「え」の発音が混同されていることである。「エレベーター」は「イレベーター」、「栄養」は「いいよう」などと聞こえるような発音をする。厳密な言い方をすれば、栃木県人は「い」も「え」も、それぞれ「い」と「え」の中間の発音をするのである。確か英語の発音でも同じようなのがあると思うが、その発音なら栃木県人は得意かもしれない(笑)。面倒なのは「伊藤」と「江藤」が簡単に間違われることだ。この名簿に出てくるこの二つの名字は、栃木県では祟られていると言えるか(笑)。しかし、これは私の親の世代まで甚だしかったが、私の年代以降だと、やはりテレビの普及などがあったせいか、標準語へかなり矯正されている。だからアクセントの話しと違い、私は「い」と「え」はきちんと発音できる。
小学校の頃の今でも忘れられない思い出がある。ある先生が休み時間に「○年○組の誰々さんと誰々さんは至急職員室に来なさい」と校庭や校舎へ大きく聞こえるように校内放送した。この「職員室」が思いっきり「しょくえんしつ」と発音されていたので、私は「食塩室」と勘違いして、塩がたくさん置いてある部屋はこの小学校の中の一体どこにあるのだろうと、しばし真剣に考え込んでしまったのである。
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