川柳マガジンクラブ東京句会 第120回例会
第120回川柳マガジンクラブ東京句会が平成28年11月13日に東京都文京区「駒込学園」にて開催されました。出席者は植竹団扇さん、松橋帆波さんと大谷仁子、小野六平太、菊池眼鏡、佐道正、高田以呂波、高塚三郎、唯夕、辻直子、土屋喜代子、丸山芳夫、水野絵扇、宮本游子各氏および星野睦悟朗の15名、欠席投句は菊池順風、加藤品子、長谷川溪節各氏の3名でした。
当日の句評会結果及び宿題、席題の選者、入選句は次の通りです。
Ⅰ、自由吟互選と句評会
句の上の数字は3句ずつ選んだ互選の得票数です。ゼロ票句は植竹団扇さんと松橋帆波さんがコメントしました。発言者の前に?をつけたのは、疑問等があって発言した人です。
名画座の残像老いぬ原節子 六平太
・・・出席者には名画座や原節子をよく知る人からあまりなじみのない人までいてがやがや。
筆まめの恋が切手にじれったい 芳夫
?を付けた六平太、直子の他にも句がわからない人がかなりいた様子でした。
団扇「同じ封筒でも、82円、92円、120円などどれを貼ったらいいか迷う」
作者「切手代のことは考えなかったです。切手にじれったいのです」
1 歳時記の大改訂をしませんか 游子
眼鏡「たしかに。花粉症、ハロウィンなど入ってない言葉もあります」
正「ハロウィンの喧騒の後文化の日、というのは季語重なりにならない」
芳夫「この句は天候不順のことを言っているのでは」
作者「天候があまりにも昔の感覚と違うので作りました。また旧暦でもあるし。お盆は秋だったり」
1 三日見ぬ間の紅葉が口惜しい 品子
1 おばちゃんはみんな大谷君が好き 正
作者「誰に聞いても好きだと言います。受け答えもいいし、かわいい、と」
1 リンカーンも草葉の陰で泣く選挙 溪節
2 矢印の先で待ってる最後尾 唯夕
作者「水族館か何かで地下まで並んでいるのを見ました」
2 何歳になっても美女を振り返る 睦悟朗
2 駅進化機能向上迷子増 以呂波
睦悟朗「面白いですが、迷子増より「俺迷子」などと自分がいる方がいい気もします」
絵扇「渋谷で実際にありました」
作者「新宿駅は出口が59か所もあります」
2 責任を問われる頃は既に辞め 眼鏡
作者「時事の句を作ったことがないので作ってみました。都庁だけでなくもんじゅなども」
2 食進む秋には向かぬ腹八分 絵扇
2 パンと打て何を迷っている両手 直子
三郎「「何を迷っている両手」を自分自身のように思いました」
游子「何か始めるとか、一歩踏み出すとか、そう意思を持てと・・・」
団扇「ポンとパンでは違います。パンがいい。ピシャも違う」
作者「自分の勇気のなさを鼓舞して。躊躇している自分を鼓舞して、ということです」
2 捨てるたび思い出さんが邪魔をする 三郎
喜代子「写真なども思い出に浸り、洋服なども思い出が浮かんで・・・」
芳夫「「捨てるたび」の表現がちょっと引っかかったが。想い出さんが可愛くてつい入れた。(島倉千代子
の思い出さん今日はをちょこっと歌う)」
団扇「もっと歌って」(と続けて歌う)(笑い)「誰の曲だっけ、星野哲郎?」
(注)星野哲郎作詞、古賀政男作曲
作者「この曲を歌わないが聞きます。たまたま一昨日聞いて句に入れられないかんと考えました」
3 XとZの人気妬むY 帆波
睦悟朗「こういうことを思いつくとはすごい」
唯夕「ドクターXなどなど。思い付きに私も感心」
直子「見付が面白い」
?芳夫「面白くて〇にしようかと思った。XやZは左辺で未知数、Yは答かな?」
作者「いろいろな解釈を期待しました」
3 さっきまで歩いてた道地下へ消え 喜代子
睦悟朗「何も考えずにぱっと選びました」
六平太「その前に二回同様のことがあった。本当に驚いた」
正「うまい。時事吟としてうまい」
作者「今日は休むはずが朝突然参加できることになって作りました。動画の凄さに驚きました。犬を連れて
散歩していた人がすぐ後ろが陥没して水をかぶったそうです」
4 舌を噛むことはないのかカメレオン 団扇
正「カメレオンは歯がない。でもだまされる。この句はずるい」
三郎「作者の言わんとするところがわかる気がする」
游子「面白いと思った」
直子「何にでも興味を持つのがすごい」
作者「何の意味もない句です。とことんなんにもないのもひとつくらい作ってもいいのでは」
5 転んでも自販機下をのぞいてる 順風
仁子「道路縁の花に五円玉があり、お守りにしています」
絵扇「自分が転んだら見るだろうな」
以呂波「この状態を想像したら面白い」
游子「転んでもただでは起きない。意志が感じられます」
芳夫「私もそう言おうと思っていたら言われちゃいました。下をのぞいてるが面白い。ただし「自販機の下のぞいてる」の方がいいと思う」
欠席の作者「したたかという題で詠みました」
6 譲ってた席譲られて気落ちする 仁子
喜代子「こういう経験はないがこうなったらがっくりくるでしょう。でもありがとうと言えたらいいですね」
六平太「同じくらいの奴に譲られると腹が立つ」
芳夫「初めての経験は、八王子で譲った次にバスに乗ったら高校生に譲られた」
眼鏡「まだ譲られたことはないが分かります」
直子「そうですね」
三郎「こういうことはよくあるのだなあと思った」
作者「昔四谷と龍ヶ崎と半々の生活をしていた。ある時譲られて嬉しくなかったです」
トップ賞で一筆箋と「大人のチョコバット」が贈られた。(以下宿題、五分間吟のトップにも)
(注)大人のチョコバット:三立製菓のロングセラー商品「チョコバット」の11月発売新製品。
太目で表面にアーモンドはちりばめてある。お世話役さんがさっそく目を付けて求めたたらしい。
Ⅱ、宿題
宿題は「合わない」で高塚三郎さんの選でした。
三郎「良い句がいっぱいあって迷いました」
「佳作」
性格は不一致だけど夫婦です 溪節
大喧嘩因はボタンの掛違い 以呂波
一円玉を探す残業 帆波
ギャラなんて忘れ熱演してしまう 芳夫
おしどりとよばれた方も離婚する 順風
親子でも正反対の嗜好品 以呂波
両さんにピカピカの靴似合わない 六平太
皆が言うから僕も言うご名算 芳夫
合う合わない言っちゃいられぬ介護妻 仁子
一つまみ塩の加減に距離がある 游子
「秀作」
宴会後残った靴が小さすぎ 正
ずれている同士の長いお付き合い 芳夫
性格の不一致いつも笑い生む 睦悟朗
「特選」
寅さんの一途なおもい嚙み合わず 六平太
「軸」
もう少し合わないだろが腰かける 三郎
Ⅲ、五分間吟
宿題でトップだった小野六平太さんの出題及び選で五分間吟を行いました。題は「ピカピカ」でした。
「佳句」
ピカピカは隔世遺伝親うらむ 唯夕
ピカピカになる消しゴムを持っている 直子
初恋の君は私の金メダル 芳夫
話し終えピカピカ頭で座を下りる 仁子
修行僧毎朝ムダに拭き掃除 正
袖口を磨き上げてた青っ洟 芳夫
一年生背中で踊るランドセル 以呂波
磨きあげ価値を上げたか五円玉 喜代子
ピカピカの窓にもみじに手型つけ 帆波
悪ガキもかわいく見えるランドセル 正
「秀句」
ピカピカの寺で薄れるありがたみ 眼鏡
ピカピカが苦手で食えぬ青魚 団扇
ピカピカに光がまぶし目の老化 眼鏡
「特選」
ピカピカの頭も同じ理髪代 睦悟朗
「軸」
光頭会はげましあってみがく日々 六平太
Ⅳ、難解句鑑賞
参加者が提示した難解句を鑑賞しました。
いじわるばあさん共鳴出来る明日へ寝る 福島久子
いじわるばあさんは作者かそうでないのか、句はどこで切って読むのか・・・。明日は(も?)頑張るぞ、ではありそう。
不等辺三角形に咲くかしこ 勝又明城
三角関係では、ということでいろんな発言が。「かしこ」とあるからは手紙だろうが。咲いている、はどんな状態なのだろう。・・・一番わからない句でした。
わけあってバナナの皮を持ち歩く 楢崎進弘
「わけ」は何かを想像させるところが面白い。バナナの皮だから、問題になるような殺意などではなかろう。本人もやましいところがあるのかも。・・・
ゆるやかに桔梗の恍惚を盗む 野沢省悟
桔梗の恍惚とは?、かわいくない花なので自分に恍惚?、それとも恍惚の人(ボケ)の恍惚?。盗むとは写真でも撮ったのか。手折ったのか?
Ⅴ、12月句会
日時 : 平成28年12月11日(日) 12時30分開場 13時開始
忘年句会を行いますので、句評会はありません。茶菓、お弁当があります(お弁当代500円)ので
出席者は事前にご連絡ください。
松橋帆波宛
郵送 〒125-0061 葛飾区亀有1-13-1-407 Fax 03-3604-7328
メール honamikp61@gmail.com
場所 : 駒込学園
内容 : ① 句会
宿題「今年の出来事」3句(句箋は当日)
② 特別企画のお楽しみ会
Ⅵ、平成29年1月句会
日時 : 平成28年12月11日(日)
宿題 : 未定