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 9月にZoomによるオンライン句会「夏雲ひかり句楽部」が東京で発足し、私も誘われて早速ホイホイホイと入会してしまった。参加者6名のスタートだったが、互選結果に基づくチャットは楽しいもので、あっという間に予定の2時間が過ぎてしまった。
 初回のお題は「小さな一歩」で、拙句は「初めての寝返り何とスフィンクス」を事前に投句していた。3月に生まれた2番目の孫のことを詠んだのだが、まあまあの評価だった。若手の参加者には句意が分からないという意見もあった。
 さて提出前に何度も作品の推敲を試みたが、その途中であることにふと気がついた。「寝返る」は動詞の終止形、その連用形名詞は「寝返り」となる。この二つの使い方には微妙な違いがあるのではないか。
 「寝返る」のもともとの意味は「寝たまま体の向きを変える」だが、それが比喩として派生し「 味方を裏切って敵の方につく」という2番目の意味合いに使われることもある。
 ところで、赤ちゃんの初めての「寝返り」を見て、周囲が「寝返った! 」と声に出して喜ぶだろうか。多分「寝返りした!」「寝返りが出来た!」と言うのではないか。「寝返る」をそのままの動詞として使わず、連用形名詞の方の「寝返り」を用いるだろう。逆に、何かの局面で「誰それが寝返った」と言い表す場合、「誰それが寝返りした」とはあまり言わないのではないか。
 「(敵に)寝返る」には悪いイメージ、「(赤ちゃんが)寝返りする」には喜ばしい(微笑ましい)印象が残るだろうか。「寝返りを打つ」の慣用表現も、実際に布団の中でそういう動作をする場合に使われ、悪いイメージの世界で用いられることはあまりないだろう。
 たかが動詞一つについての考察だが、動詞から連用形名詞が派生して使われる時に、意味の乗り換えみたいなことが生じる場合がある。今回の「寝返る」「寝返り」はその典型だろう。
 言葉についてトリビアルな発見をするのは所詮自己満足の世界なのだろうが、私にとっては実に愉快なことである。

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