昭和50年に大学へ入って、初めは西武新宿線沿いの上石神井の下宿で暮らしていた。四畳半に北窓が一つ、台所とトイレは共同。部屋の壁は薄くて隣室の話し声やテレビの音は丸聞こえだった。
そんな生活の中で、傘を失くした経験が忘れられない。上石神井駅から高田馬場駅まで毎日満員の西武電車に揺られながら通学していたのだが、梅雨時のある日、折りたたみ傘を電車に置き忘れてしまったのだ。気がついた時は後の祭り。
1本しか持っていない大事な傘である。失くしたからといってそう簡単に新しい傘を買う気がしない。どうしようかと、まだ18歳の私はいろいろ考えた。終点の西武新宿駅に行けば、拾得物が保管されていて自分の傘もあるのではないか。
数日経ち、ちょっと勇気を出して電車でのこのこ西武新宿駅まで行った。駅員に事情を話すとあまり丁寧な扱いをされなかった。嫌な感じがした。
傘が保管されている所へ案内されたが、傘は山のようになって置かれていた。この中にあるので捜してください、と言われた。うーん、山の中から自分の傘を見つけ出すのはどう考えてみても無理である。駅員の対応の仕方の意味が分かった。そして東京という街の大きさも改めてよく理解した。
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貧乏学生だった小生には、よ~く分かります。共感!
哲男さん、ありがとうございます。
たかが傘1本、されどされど大事な1本だったんですよね。