私が生まれ育った町には7月中旬に夏祭りがあって、御神輿を担いだり、山車を引き回したりして地域住民が楽しんでいる。これは伝統行事として地元の一大イベントであり、今でも続いている。もっともコロナの影響で去年、今年は中止となった。
さて、我が家ではその時期、母親が炭酸まんじゅうを毎年作ってくれていた。このおまんじゅうはてっきり全国的なものかと思っていたら、北関東あたりでしかやっていないことを最近知って些か驚いた。
まんじゅうそのものの作り方は簡単で、まず小麦粉と重曹を混ぜて水で捏ねる。適当な大きさにちぎって餡子を包む。最後に蒸し器で蒸すだけの作業である。出来上がりは黄色味がかったものとなる。
重曹を使えばまんじゅうの生地が膨らむ。その柔らかさは蒸しパンみたくなる。和菓子屋でも売っているのだが、母親が作るといかにも田舎まんじゅうという武骨さがある。皮が厚くなっているので、がぶりと頬張って餡子に舌が辿り着かないこともある。
生地に砂糖を入れて皮に甘みを付ける方法もあるが、それはお店で売っているやり方で多分一般家庭ではそういう作り方をしていなかったと思う。
母親が炭酸まんじゅうを作り始めると、2、30個は蒸す。お昼の食事は当然まんじゅうとなり、4、5個はペロリと食べたのではないか。
今ではなかなか味わえないものになってしまった。栃木の郷土料理としては風前の灯なのではないか。32年前、孫(私の娘)が生まれた年の夏に作ってくれた記憶が最後だったかもしれない。
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