毎週日曜日の朝6時10分から、NHKで「特選!時代劇」が放映されている。これはかつて好評だったシリーズ作品の再放送であるが、古くは20年以上前に制作・放映されたものもある。私はNHKの時代劇が好きで大体のものは視聴していたが、新作の放映は、大河ドラマを除いて今ではBS放送でしかやっていない。拙宅はパラボラアンテナを設置していないので(今時珍しいと笑われるかもしれないが)、この早朝の再放送を唯一の楽しみにしている。
4月からは「陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜」(原作:佐伯泰英)が始まった。これは2007年7月から10月にかけて、「木曜時代劇」として第1シリーズが放映されたものである。何と19年前の制作だが、そもそも時代劇なので廃れたものにはなっていない。ハイビジョンの画面なので、あまり古くも感じられない。登場人物がみんな若くて、とにかく素直に懐かしいと思う作品である。
さて、この「陽炎の辻」はかなり好評であったようで、当時の視聴率は毎回10%以上だった。第2・3シリーズも制作・放映され、正月時代劇としての特番も三つある(以上はWikipediaからの情報)。
ドラマの展開は、初回から、いや初回だけでいきなり目まぐるしい動きを見せてくれる。これで一気に観る者の心を惹き付ける。暢気に画面を眺めているだけでは、どんどん進む物語に追いつけなくなってくる。そのドラスティックなところが今でも強く印象に残っている。次に主人公の坂崎磐音(山本耕史)がとにかくカッコいい。男でも惚れ惚れするくらいである。おこんを演じた中越典子もまだ20代で可愛かった(今でも変わらないと思うが)。当時はVHSのビデオデッキに予約して視聴していたが、毎回画面に釘付けだった。今回の再放送では、そそくさと朝食を済ませてからDVDプレーヤーに予約録画したものを視聴している。19年ぶりに再び釘付けになった。
この時代劇の面白さをかつて誰かに話したことはない。職場では、同僚の誰かに観ているかどうかをわざわざ訊くこともしなかった。自分で素直に面白いと感じるなら、敢えて誰かとそのことでわざわざ共感したり、語り合ったりする気も起らなかったのだ。自分だけが密かに楽しめればそれでいい、そんな感じだった。だからここでも敢えて物語の概要などは説明しない(読者の方々には「失礼!」)。
2008年に第2シリーズ、2009年に第3シリーズが放映された。さらに2009年・2010年・2017年に正月時代劇スペシャルが放映された。これらをすべて私は観尽くしている。
多分私みたいな沈黙のファンは結構いるのではないかと思う。そういうファンは、今回の「特選!時代劇」としての再放送もしっかり観ようとするのではないか(私の勝手な思い込みかもしれないが)。今後、第2シリーズ以降もすべて放映してくれるとありがたい(NHKの担当の方、よろしくお願いいたします)。
振り返ってみると、初回放送時の私は50歳だった。両親も80歳近くだったが健在だった。娘は高校3年の受験生だった。時間を巻き戻して、家族を中心にそれから現在に至る出来事をあれこれ思い返してみると、50歳の当時にはとても想定していなかった19年間を歩いてきたことに改めて驚く。
今の人生がずっとそのまま続くと思い込みたがるのが人間の性(さが)である。現在の69歳から始まる今後の19年間に、私はどんな道を辿るのだろうか。この世からいなくなっている可能性もあるが、19年後にも「陽炎の辻」が放映されて視聴するようなことがもしもあったら、今回と同じように再び感動したいと願っている。放映の可能性は少ないだろうが、そういう気持ちだけは保持していきたいと思っている。
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