豊橋番傘6月号近詠作品からの鑑賞を、青森県在住 黒石川柳社の北山まみどりさんにお願いいたしました。
〇猫死んだ母の時より泣けたのよ 中田阿々茶
母が死んで泣かない人はいないでしょうに、それ以上に泣いたのが猫と言う。でも猫も家族同様に暮らしていたのだから仕方ありません。泣いたではなく泣けたの表現が作者の優しさと素直さが伝わります。
〇この歌はうれしい記憶つれてくる 藤田 盛雄
誰しもが心の中に持っている歌やフレーズ。ふと立ち寄った店などから懐かしい曲が聞こえてきたら一気にタイムスリップしてしまいそうだ。まして楽しかった記憶ならば言うことなし。ずっと浸っていたいと思う。
〇凡人でほどよく人に愛される 本多 雅子
人よりも○○ができる、○○を持っている、でもどことなくツンツンして近寄り難いというか自分でガードを固くしている人っていますよね。普通でいいからみんなに可愛がられるのは最高ですよ。
〇グータッチする人もなく散歩道 山井十文字
知り合いと会ったり犬の散歩の人と仲良くなったりした、いつもの散歩コースに人がいない。何があったのだろうと思いながらも日課になった散歩を黙々と続ける作者、もっと元気になりますように。
〇なぜ惜しむほめる言葉はタダなのに 梅川 一惠
そうですよね、感謝や誉め言葉、労いの言葉いろいろありますが、ほんと口に出して言わない人っていますよね。照れくさいのかもしれないけれど悪口じゃないんだから大いに言いましょう。あっ嫌味にならない程度に。
〇心地よい枕が胸を軽くする 小林ふく子
体にぴったり合った寝具は最高ですが、この枕は比喩。頭を支えてくれる枕のように、自分の抱えている悩みを聞いてくれる人がいて胸のつかえが取れていく。本物の枕なら目覚めたくなくなるかも。
〇もう傘はいらないやがて晴れてゆく 澁谷さくら
何か吹っ切れたのですね。多少辛いことがあっても、少しくらい濡れたって平気。傘は今までのお守りみたいなもの、一人歩きを始めたらお天気もきっと味方をしてくれるはず。
〇まだ少し時間があると油断する 中内まつ江
めずらしく早起きをして時間に余裕があると思い、つい別なことをして結局遅刻しそうになる。何かの締め切りがまだ先だと思えば、これもまた後回しにしてあとで大変な目に合う。油断大敵ですね。
〇雨は好きどこかでホッとしています 伊藤紀雍子
長雨も大雨も度を過ぎるのは困りますが、雨音を聴きながら部屋でのんびり過ごすのは心が落ち着くのかもしれません。
まみどりさん、鈴鹿での楽しかった夜を思い出しています。急なお願いを引き受けて下さり有り難うございました。
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