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*「居酒屋文化フォーラム」という団体の会報に4月からショートエッセイを連載するようになりました。今月まで連載した5回の拙文を転載することとします。

 

  瓶ビールの顔

                             川柳作家 三上 博史

 ビールと言えば、居酒屋ではジョッキの生ビール、自宅なら缶ビールが主流になってきて久しい。スーパーの売り場でもその陳列はほとんどが缶入りを占めている。注ぎ注がれて楽しむ瓶ビールは、既に昭和のイメージになった感じがする。
 アルハラ(アルコールハラスメント)という言葉が定着して、もっと飲んだらと勧めることすらタブーに近づいている。グラスを飲み干せば周囲の誰かがすぐに瓶の首を傾けて注ぎ足してくれていた頃が懐かしい。
 女性社員だからといってお酌をさせることもセクハラだと言われてしまう世の中になった。たかがビール、されど麗しい女性に注がれたビールはひと味違ったものだったが、そんなものは過去の飲み方だと笑われてしまいそうである。
 私は居酒屋に一人で入って瓶ビールをよく注文する。話し相手がいなくても手酌でグラスを飲み干し、酔いが回ってくればそれだけでいい気分になる。瓶の顔であるラベルを何気なく眺める。キリンのラガービールのラベルに「キ」「リ」「ン」の隠し文字があることは若い頃から既に承知しているが、酔いに任せてラベルとにらめっこしながら改めてその文字を探してみる。そんなことを懲りずにやって昭和の頃を懐かしむのである。

  瓶ビールいまだ昭和の顔である
              博史

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