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 壬生と宇都宮でそれぞれ月1回の川柳指導を行っている。壬生の方の「みぶスリーアップ川柳会」は互選と一人選が主となる句会である。前回の入選作のみならず選外になった作品もワープロにまとめて出席者に配付し、それをもとに私がコメントする時間が毎回披講前に設けられている。これは、没句についてもその中にひょっとしたら佳句があったのではないか、添削すれば良句になるような句もあるのではないかという意見が、参加者の一人から出され、会の発足当初から始まったものである。
 さて前月ではこんなことがあった。前回の課題「足または脚」の選外作品で「正座して大砲二門膝頭」という句があった。その課題の選者を担当した出席者から、これはどういうことなのか私にはさっぱり分からなかったのでボツにした、分かる人がいたら教えて欲しいとの率直な発言がなされたのである。実はこの句の作者は私だった。そして私はこう答えた。
 私も30数年川柳と係わっている。いろいろな課題で作品を詠んでいるが、「足」や「脚」のようなよく出される題だと、どうしても今までに詠んだ自句や他人の入選句が脳裡に浮かんで来てしまう。そういったものをちょっと弄って使い回ししたり、焼き直ししたりすることも出来るが、それでは自分が面白くない。たとえ入選してもときめくようなことはない。課題と真正面から向き合って己の頭の中をしぶとく搔き混ぜ、新たな発想や題材をいろいろな角度から探したい。今回の「足または脚」も作句のプロセスにおいて、そういうふうに自分を追い詰めたのである。そしてパッと思い浮かんですんなり出来上がった作品がこれだった。出句して選者に分かってもらえるかどうかかなり怪しく感じられたが、それでも膝頭を大砲と見立てた発想を見つけた時は霧が晴れたような満足感を得た。入選すればもっと嬉しいが、そうでなくても既に得心がいっている。ボツにされたからといって負け惜しみの気持ちが湧いたかというとそんなことは全然なかった。以上のことを話したら、みんなが納得してくれたようだった。
 みぶスリーアップ川柳会は、3年前に私が講師を務めた地元主催の川柳入門講座に由来するので、会員10数名の柳歴はほとんどが3年未満である。そういう意味でキャリアの浅い新人ばかりで句会は今も活気がある。作句に楽しんでいる様子が会員同士の会話からもよく分かる。
 川柳を詠み始めて数年も経てば、課題に対する新たな発想が誰でも枯渇し始めるだろう。そこからどうするのか。スランプに陥ることもあるだろう。しかし自分自身や身の回りのことを丁寧に観察していけば、未発見の発想が発掘できるはずである。そういう段階に入っていけば、さらに中級レベルを目指すことができる。10数名の会員がそのように成長していくことを素直に私は願っている。

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