もう時効になってしまっただろうから話してもいいと思うが、土木関係の元地方公務員だった川柳仲間が一人いた。60歳を過ぎてから川柳をやり始めたのだが、かなり熱心に取り組んでいた。各地の大会にも積極的に参加していて、わざわざ東京方面の例会にもよく出かけていた。
役所を退職後は年金暮らしだったが、いわゆる天下りのように土建屋の顧問や参与としていくつもの会社を渡り歩いて収入も得ていた。年齢的にパソコン操作を覚えて始めるには無理な世代だったが、70歳を過ぎてから、会社の若い女子社員にキーボードの打ち方を勤務中に教わり、Wordでベタ打ち程度のスキルを身に付けたようだった。それが嬉しくて、所属する吟社の柳誌編集の手伝いもするようになった。勤務中に会社のパソコンでワープロ入力・編集作業をやっていたようだった。更に句作りも平気でしていたという本人の自慢げな弁も耳にしていた。
私にも出来上がった柳誌を見せてくれて、その吟社のために頑張っていることは充分理解したのだが、ページをめくってみるとあちこちに誤入力・誤変換が多い。そのことをやんわり指摘しても、大した間違いではないと勝手に思い込み、聞き入れてはくれなかった。それなら仕方がない。もうそれ以上のことは何も言うまいと決めた。その後、いつの間にかパソコン入力担当は御役御免となっていた。やっぱりそうか、70(歳)の手習いだったパソコンに対して、少し舐めてかかっていたのだから仕方がないことだろうと私は陰で頷いた。
以上の話しとは別に、ある文芸組織の事務局をやることになり、会計担当といろいろやりとりすることになった。その会計担当がこれまた元地方公務員の人で、Excelを使って簡単な会計処理を行っていた。スマホのメールなどでいろいろやり取りしていて、どうも自宅にパソコンがないということが判った。それではどのようにして作業をやっているのかというと、これまた役所を退職後天下り的に再就職先した公益的な団体の職場にあるパソコンを使い、勤務中にそれをやっていたのだった。パソコンスキルはWordやExcelなどの初歩的な知識だけだった。収支決算書のシートに連動する費目ごとのシートを作った電子帳簿みたいなもののフォーマットを作ってやり、これを利用したらどうかと勧めたのだが使いこなせなかったようだった。この程度のパソコンスキルで現役時代は一体どういう仕事をしていたのだろうかと密かに訝った。
すべての元役人について悪く言うつもりはないが、仕事中に平気で職場のパソコンを使って内職仕事をする厚かましさはいかにも税金で禄を食んでいた元公務員らしい。一人だけならそんなものかと思って終わりになるが、期せずして同じようなケースを二つも経験したので、敢えてここに記してみた次第である。決して役人全般を非難しているつもりはない。私も親方日の丸的(かなり古い言葉だが)というか、役所みたいなところで長年働いていて、せこい職員は数多く見てきた。12月になると、勤務中にこっそり職場のプリンターを使って年賀状などを大量に印刷するような輩などはざらにいた。だから大きなことは決して言えないのは充分承知している。でも長年川柳と付き合って川柳界を眺めていると、作句の実力を認められて指導的な地位に立つような人に、そのようなしみったれたことをする者はいなかった。これは確かなようである。
最後に付け加えると、前者の元地方公務員は苦労した生まれ育ちなのか金銭的にもかなり細かい性格の人間で、飲み会などで仲間から集金したお金の小銭を指先で弄っては数え、それで割り勘の精算をするのが呆れるくらい好きだった。そんな人間だったからとは敢えて言わないが、作品の評価の方も熱心な割には大して高くはならなかった。
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