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   ノンアルの進化

                                                                                            川柳作家 三上 博史

 インターネットで調べると、ノンアルコールのビールが日本で本格的に製造・販売されるようになったのは昭和の終わり頃であるらしい。実際に広く普及し始めたのは平成に入ってからで、テレビで某ビール会社のCMが流れ出したことを記憶している。
 その頃の私はまだ若かったので、とてもじゃないがアルコールの入っていないビールを飲む気などなかった。実際に口へ入れても、旨いとは全く思えない。飲んで食べてワイワイ楽しむ機会がある時は、アルコールの入ったものを飲むのが当たり前。それができない宴会なんてつまらない。そんな価値観で人との親睦を深めてきたのである。
 しかし40代から50代になると酒量も減って、酒に酔うことへの執着心もさほどではなくなってくる。ある宴会に車で行った時のことである。当然酒は飲めなかったが、誰かが「最近のノンアルコールビールはカロリーオフでも結構旨い」と講釈しているのを聞いた。そんなものかと思いながら私も口にしたら、これがそのとおり案外いける。まさにアルコールを抜いただけ、それ以外は普通のビールと変わらない味であることを今更ながら発見して驚いた。
 私は時代に乗り遅れていた。ノンアルの味は着実に進化していたのである。先入観とは誠に恐ろしい。今までバカにしていたことを素直に悔いた。居酒屋でノンアルを注文することが「とりあえず生中」と同じくらい普通になった。隔世の感がある。

  いつの間に友達ノンアルのビール
               博史

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「ノンアルの進化」-居酒屋文化フォーラム会報12号(2025年10月)から-”にコメントをどうぞ

  1. 月波与生 on 2026年2月3日 at 7:51 PM :

    「酒を水で薄めて飲むほど貧乏しちゃいねえや」と言っていたのは『男性自身』を書いていた山口瞳さん。まだ存命だったら今のノンアル文化を見てなんとのたまうか興味があります。ついでに彼の名言をひとつ。『人間は少しぐらい品行は悪くてもよいが、品性は良くなければいけない。』

    • 三上 博史 on 2026年2月3日 at 8:56 PM :

       与生さん、コメントありがとうございます。
       山口瞳さんには「酒呑みの自己弁護」の著作もありましたね。私の方は、少しずつ酒の量を減らして、いずれ止めてしまおうかとも考えています。まだ実行段階には移っていませんが、呑むのも幾らか飽きてきた気もするんです。

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