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   ノンアルの進化

                                                                                            川柳作家 三上 博史

 インターネットで調べると、ノンアルコールのビールが日本で本格的に製造・販売されるようになったのは昭和の終わり頃であるらしい。実際に広く普及し始めたのは平成に入ってからで、テレビで某ビール会社のCMが流れ出したことを記憶している。
 その頃の私はまだ若かったので、とてもじゃないがアルコールの入っていないビールを飲む気などなかった。実際に口へ入れても、旨いとは全く思えない。飲んで食べてワイワイ楽しむ機会がある時は、アルコールの入ったものを飲むのが当たり前。それができない宴会なんてつまらない。そんな価値観で人との親睦を深めてきたのである。
 しかし40代から50代になると酒量も減って、酒に酔うことへの執着心もさほどではなくなってくる。ある宴会に車で行った時のことである。当然酒は飲めなかったが、誰かが「最近のノンアルコールビールはカロリーオフでも結構旨い」と講釈しているのを聞いた。そんなものかと思いながら私も口にしたら、これがそのとおり案外いける。まさにアルコールを抜いただけ、それ以外は普通のビールと変わらない味であることを今更ながら発見して驚いた。
 私は時代に乗り遅れていた。ノンアルの味は着実に進化していたのである。先入観とは誠に恐ろしい。今までバカにしていたことを素直に悔いた。居酒屋でノンアルを注文することが「とりあえず生中」と同じくらい普通になった。隔世の感がある。

  いつの間に友達ノンアルのビール   博史

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