この間、亡父方の叔母さん宅へ行く用があった。久し振りに伺うと、80代半ばの元気な姿を見せてくれた。
和菓子が大好物で、60歳を過ぎてから自宅に隣接して小さなログハウスを建て、手作りの炭酸饅頭の一品だけを扱う小さな饅頭屋を開いていた。昔懐かしい炭酸饅頭へ郷愁を感じる客は今でも結構いるもので、10年以上作り続け、それなりにずっと繁盛していた。しかし足腰も次第に弱くなって、結局は歳に勝てず数年前に店を畳んだ。
和菓子のほかにおこわも好きで、訪ねた際にはたまたま蒸しおこわを蒸籠(せいろ)で作っているところだった。もち米が余っていたので蒸かしてご近所の知り合いに配るところだったという。
お喋り好きな叔母さんがおこわについての持論を語り始めた。おこわは蒸したものに限る。炊きおこわは本当のおこわではないと言う。炊いたおこわは軟らかくて旨くない。おこわの「こわ」は「強(こわ)い」からきているので、硬いのが当たり前だという訳である。和菓子好きでおこわも大好き、いろいろとその方面の蘊蓄を聞いていて、なるほどさすがだと感心した次第である。帰り際には、湯気の立つ出来立ての蒸しおこわをいただいた。1人前3食分は充分あっただろうか。
さて、我が家も母親が蒸しおこわを竈でよく作った。慶事、祭事があるとまずおこわや饅頭を拵える。かつての田舎の風習を母はずっと守り続けていた。おこわに振りかける胡麻塩は自家製で、炒った白胡麻に塩を混ぜていた。
おこわがあれば後は何も要らない。それだけで食事が出来る。お櫃に一升や二升のおこわを作り置きして、食べる際に電子レンジで温めたり、鍋で蒸し返したりして家族で数日は朝昼晩と食べていた。
実は、家族の中で私だけがおこわを食べて胸やけしていた。始めの1、2食目は大丈夫なのだが、それ以降は食べた後に胸やけがする。これはよく嚙んで食べないからそうなるのだと思い、なるべくゆっくり嚙むようにして食べていた。しかし3日目ぐらいになると、いくらよく嚙んでもやはり胸やけする。もち米の成分の強さを感じるのである。
ところで、スーパーで売られている惣菜コーナーのおこわ(「お赤飯」などと表示されているが)は、いくら食べても胸やけしない。しかもこわくなくて軟らかい。少し水気が多い。これは炊きおこわなのである。どうも私の胃袋には炊きおこわの方が相性がいいようである。
だが、スーパーのお赤飯は胡麻塩を振りかける必要がないくらいに塩分の強さを感じる。おそらく塩をかなり入れて炊いているのであろう。これはコンビニのおにぎりと同じ製法である。うーん、血圧の高い人間には要注意である。塩味で箸はどんどん進むが、体にはよくない。やはりおこわは蒸したものに限る。私もいい歳になった訳だが、さらによく嚙んで蒸しおこわの旨さを味わうようにしたい。
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