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 4・5月の大型連休の頃に庭先の草むしりと庭木の剪定をやった。むしった草や剪定した小枝は大きな半透明のビニール袋に詰め込んで片付けた。何袋も詰め込み作業をしたが、その際に左手の親指の腹のところに棘が刺さった。
 最初は気づかなかった。作業終了後はちょっとした切り傷でもできたのだろうと高を括っていたが、翌日も痛い。改めて親指をじっくり眺めると小さな棘が刺さっている。カッターナイフや裁縫用の針で突(つつ)いて取り除こうと試みた。しかし、これが皮膚の表面に対して垂直に少し深いところまで食い込んでいて、到底無理だと判明。仕方がない。当分このままにしておいて、いずれ皮膚の表面に顔を出してくる時に棘抜きで引き抜いてみるかと諦めた。
 数日して、刺の刺さった箇所の皮膚が剝け始めた。ようやく棘が現れてきたなと、再び突いてみた。しかし皮は剝けたが、棘は相変わらずめり込んだままだった。再度断念。
 それからは、ちょっとした痛みを感じながらも何とか日常生活を送っていた。何かを摑んだり、握ったりするのにはほとんど支障がなかったのである。
 約1か月が経過した5月末にまた皮が剝け始めた。今度こそ、棘を引き抜けるのではないかと、三度目の挑戦。カッターナイフと針を使って棘と格闘する。針で弄っていると、ひょっこり棘の先が出てきた。皮膚の下にずっと潜んでいた所為か、水分で柔らかくなっていた。今回は簡単に取り除けた。
 結局、指先の棘の除去にひと月近くを要した訳であるが、ふと思った。若い頃だったらひと月もかからなかったのではないか。体内に異物が闖入してきた場合の身体の防衛本能というのは、刺ぐらいのものでも若い時分だと短期間で排除、弾き出せるのだろう。年を取ったから防衛本能も弱まりこんな時間を要したのだ、と。微小な刺のことから我が身の老化をしみじみ実感した次第である。

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