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 YouTubeで偶に古い洋楽(ポップミュージック)を聴いている。大体が私の中学・高校時代(1970年代)に流行ったものばかりである。聴く時には、なるべく原語の歌詞とその和訳が載っている画像を選んでいる。当時ヒットしていたレコード、いわゆるドーナツ盤は、お金を出して買ってもジャケットの裏側には和訳などは載っていないものが多かった。要するにその歌の意味なども分からず、気分だけで喜んで聴いてそれを楽しんでいたのである。
 しかしこういうネット社会の時代になったので、かつて流行ったそれらの曲がどういう意味のことを歌っているのか今更気になってきて、改めて和訳で理解しようと聴き直し始めた次第である。振り返ってみると、そんなことが将来可能になるなんて当時は想像すら出来なかった。隔世の感というか、まさに夢のような時代になったことを実感している。
 先日、ローリングストーンズの「ブラウンシュガー」(黒砂糖という意味)を聴いた。これは私が中三、1971年に日本ではヒットした。YouTubeでは、いつものように英語の歌詞と対訳が画面を同時に流れているものを選んだ。歌詞の内容は、今ではポリコレ的にまずいのではないか、人種差別的な雰囲気が漂うような、いささか猥雑な内容だと少なくとも私には感じられた。
 流れている歌詞の中に「…Get it on…」というフレーズが出てきて俄かに目が留まった。この言葉をタイトルにした歌が二つある。一つはイギリスのグラムロックバンドであるT・レックスの「ゲット・イット・オン」、もう一つはアメリカのブラスロックバンドであるチェイスの「黒い炎」で原題はこの英名である。これらがヒットしたのもやはり中学生の頃だったが、私はこのタイトルの意味が全く分からなかった。英熟語の「get on」は、一般的には「(電車やバスに)乗る」と和訳するのだろうが、それだけでは何のことか漠然としている。当時からずっと謎のままだった。
 それがローリングストーンズの「ブラウンシュガー」にも出ていて、そこでは「(性的に)楽しむ」と意訳されていた。そして、50年近く経ってようやく謎が解けた気がしたのである。
 グラムロックのT・レックスもブラスロックのチェイスも、YouTubeで「Get It On」の歌詞を改めて眺めると、「ブラウンシュガー」と同じように「性に溺れて楽しむ」という、前者は官能的で後者は卑猥な内容のものであることが分かり始めた。一般的な英和辞典には載っていない、俗語的な意味の使われ方だったのである。 
 チェイスの黒い炎は、YouTubeで更に検索すると、高校・大学、さらに自衛隊などの吹奏楽でかなり演奏されていることが判る。和田アキ子もカバーしている。また、この二つの曲はテレビのコマーシャルにもイントロやさわりの部分がよく使われている。しかし歌詞の内容を踏まえると、少なくとも吹奏楽で使われるのはいかがなものかという考えも浮かんで来る。純真な高校生が真剣な面持ちでトランペットなどの金管楽器を持ち、「黒い炎(ゲット・イット・オン)」を一生懸命に演奏している。おそらく意味も分からずにやっているのだろう。うーん、歌詞の意味を知ったらどう思うか。
 意訳された「黒い炎」のタイトルも原題や歌詞とは全くかけ離れた、たくさんレコードを売らんがためのコマーシャリズムに基づいた発想だったのだろう。「ゲット・イット・オン」に「黒い炎」はどう考えても結びつかない。
 ちなみに「ゲット・イット・オン」の中の「イット」は、意味を持たない形式的な代名詞の「it」だろう。若い世代でよく使われる言葉で「チェキ」というのがあるが、これはもともと「check it」のことで、この「it」も、具体的に何かをさすような意味のある代名詞ではない。
 そもそも洋楽などというものは、ロックであれジャズであれ、歌詞の内容などにはあまり頓着せず、演奏の雰囲気だけに酔いしれるだけのものが多い。ビートルズの名曲だってそういうところがある。さらに言えば、これは邦楽(和製ポップス)にも当てはまることだろう。歌詞の世界に入り込んでじっくり味わうのは、童謡や演歌の世界の方が圧倒的に多いのではないか。

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