大学に入学して西武新宿線沿いの練馬区上石神井に下宿した。乗り換えなしの一本の電車で通える便利さを選んだのだが、高田馬場から上石神井まで駅は11あった。上石神井駅は準急や急行の停車駅でこれに乗ると所要時間は10数分だった。当時途中停車するのは中野区にある鷺ノ宮駅だけだったと記憶している。
毎日満員電車に揺られながら通学するのだが、車内アナウンスで「トリツカセイ」という駅があることを知った。一体どういう字を書くのか。満員の車両の中ではなかなか外の景色をじっくり見られない。行き帰りに「トリツカセイ」駅を何回も通過して、ある時「都立家政」と表記するのだと分かった時は驚いた。実は、母親の知り合いに鳥塚さんとという方がいて、てっきりその2字が当てはまると思い込んでいたのである。鳥塚さんの名前の方がセイさんとかだったら「鳥塚セイ」で、ぴったり一致すると一人おもしろがっていたら都立の家政と書く。なんじゃこりゃ、と思ったが、上石神井には1年間だけ住んでいたので、そんな思い出もすっかり忘却の彼方へ行ってしまっていた。
しかし齢を重ねて老境に近づいてくると、半生を振り返って無性に昔のことが思い出されてくることがある。Wikipediaで調べれば何でもすぐ分かる世の中なので、ある時何気なく「都立家政」を検索して調べたら、東京都立中野高等家政女学校という学校に由来して、それを簡略した言い方であることがすぐに分かった。ようやく腑に落ちた。便利な世の中である。
私は当初「トリツカ・セイ」と区切ったが、「トリツ・カセイ」と区切るのではないかとも、実は考えることは考えていた。そうするとすぐ「旭化成」を連想した。しかし「都立」の「化成工場」というのも何かちぐはぐな感じがして、自分の頭の中でそれはすぐに却下されたのだった。
鳥塚セイさんという話題に関連して更につまらぬ話しをすると、2001年から始まったアメリカのアフガニスタン侵攻で同国のカンダハル(カンダハールとも言う)という地名が新聞やテレビニュースに繰り返し何度も出ていた。私の友人が、知り合いに神田ハルさんという人いる、などと何かの時に話した。単なる偶然であるが、こういったことを私はものすごくおもしろいと感じる。そういう質(たち)であることを今更ながらカミングアウトする。
何かの名簿で「アベ・マリア」という名前を見つけた時(どんな漢字の表記だったかは失念)は、これは偶然ではなく親が意図して名付けたのだろうと思った。これも一種のキラキラネームだと思う。もし私がアベという名字だったとしても、娘にそういう名前は付けないだろう。でも、その娘さんも子供の頃にその名前のことでからかわれたり、いじられたりしても、いつか馴れきって開き直るのだろうとも想像した。
Loading...


















































