我が家の餅つきは、多分私が生まれる前から毎年12月30日にやっていた。臼と杵を使ってする餅つきである。そんな餅つきをしている家庭は近所では私の家ぐらいだけだった。子供の頃は、餅つきの音が隣近所に響いて聞こえるのが少し恥ずかしかった。
中学生になると、杵を何とか持ち上げて搗けるようになったが、まだ父にはかなわなかった。高校生になると、もう餅を搗くのに完全な体格・体力の一人前になり、私がすべて搗いて、父が杵を持つことはほとんどなくなった。
餅つきはマラソンと同じである。正確に言えば上半身だけを使うマラソン。脚はほとんど使わない。3升ほどの蒸かした糯米を捏ねて搗き続ける。何回、何十回杵を振り上げれば出来上がるのか数えたこともないが、搗き終わると、はぁーはぁー息をしている自分に気づく。これを3臼、3回やるのが我が家のやり方だった。そして翌日の大晦日に切り餅にして正月の準備は終わる。
そんな餅つきを私が50過ぎになるまでやっていた。平成22年1月に父が81歳で亡くなって、それで止めたのである。臼や杵を物置から出して綺麗に洗って準備し、終わったら片づけて仕舞い込むのが父の役目だった。父が居なくなると、私がそれをすべてやって餅つきもするのはいささか荷が重い。そんな訳で、餅つきは機械を使ってすることにした。もう上半身のマラソンをするような息づかいになることもなくなった。
餅つき機を使って餅を搗くことも去年からしなくなった。90歳を過ぎた老母が糯米を研いで準備することが出来なくなったからである。ちなみに老母は、前日に9升の糯米を洗っておき、3升に分けて蒸籠で蒸かしていた。大谷石で出来た小ぶりな竈が裏庭に置いてあって、その上に蒸籠を載せて薪で燃やしていたのである。
餅つきを止めることとなり、ここに来てやっと我が家も他の一般家庭と同じように、スーパーで切り餅を買うようになったのである。臼も杵も、それと餅つき機も物置に眠ったままとなった。自分で搗いたつきたての餅、それもあんころ餅の味が今更ながら無性に懐かしい。
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もちつき機能付きのパン焼き機がある。米を研ぎ、機械に水を入れスイッチを押せば出来上がる。その後は手で粉をつけて丸める。簡単である。いまから家内が作ります。12/29
ありがとうございます。
我が家もそれを使っていました。