サシ飲みという言葉がある。若者の流行語から来ているのだろう。流行ではなくすっかり世の中に定着している感じである。思えば、うん十年前の私も偶にサシ飲みをしていたことを思い出す。ただし、男女の恋愛相談などではなく男同士の場合がほとんどだったが…。
先日、昔の同僚と飲む機会があった。同僚でありマラソン仲間の一人である。職場で私的なサークル活動みたくマラソン大会への参加をこのグループと長く続けていたが、そのメンバーたちとは暑気払い、忘年会などの飲み会を毎年やっていた。当初は10数名いたメンバーも少なくなってきて、4~5人程度になってしまったが、定年まで続き、その後も年に2回ほど夏冬に飲んでいた。飲めば酔いに任せて同じような話題の繰り返しになるが、とにかく話しは飽きない。どうでもいいようなことをみんなが言い合って、それから喋り疲れてくるとカラオケへ向かい、最後は締めのラーメン屋へ行ってビールを飲み直したたものだった。
先日の飲み会は、その中の一人と会う用事があり、それが済んだらどこかの居酒屋で飲んでみるかということになったのである。もう若者ではないのでサシ飲みなどという洒落た言葉には当てはまらないだろうが、夕方から男同士の差し向かいで飲み始めた。
いつものようにバカバカしい思い出話しに興じていたが、酔いが回ってきて今まで話したことのない家族の話題を元同僚が突然持ち出してきたのである。10年以上前に亡くなった彼の父親のことだった。そのずっと前に母親は既に亡くなっていた。父の最期を看取ったのは彼だった。妹さんがいるが遠方に暮らしているので、独り暮らしを続けている老いた父親を心配する役目は彼が負っていた。亡くなるまでに何か大変な事態になった訳ではない。しかし死ぬ間際に父親が息子である彼に語り出したことや、亡くなってからの遺品の整理などでいくつか驚いたことがあったらしい(ここでは具体的に述べない)。
親が亡くなってから気づいたことや周囲から改めて聞いた話しなどで、生前は全く想像すらしていなかったことというのは私の経験でもいくつかはある。しかし今回はあえて私のことは話題にせず、彼の話しにひたすら耳を傾ける役に回った。
彼はいつも陽気によく喋るタイプで、その時も事細かく話してくれた。そして、聞く方の私を思わずしんみりさせることも吐露したのである。差し向かいで飲んでいたからこそ語り始めた自然な話題だったのかもしれない。わいわいとした3人以上の飲み会では決して出さなかった父親の話題だったと後から思い返した次第である。
一人で黙って飲む酒、差し向かいで飲む酒、3人以上で飲む酒と、飲み方にもいろいろなバリエーションがあっそれぞれの雰囲気が醸し出される。そして酔いに任せて語り出す内容にもそれなりの傾向があることを改めて感じた。
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