桜がやっと咲きました。今年は悪天候のために開花予報から時期がずれてしまいましたが、それでも懸命に花開こうとする様子を何日か前から毎日撮っていたご近所の公園の桜、今日はこんなにきれいな姿を見せてくれて大満足。左のこの木はスマホの解説によると「サトザクラ」というそうです。そして更に隣に植わった枝垂桜の可愛らしい花色にもうっとりさせていただけたうれしい一日でした。実は今年は久しぶりに造幣局の桜の通り抜けに出かけたくて予約申し込みもしていたのですが急用が入ったので残念ながら断念、こちらはまた来年のお楽しみにとっておくことにいたします。
さて今回は令和川柳選書から出された三上博史さんの川柳句集『ほぼほぼとほほ』のご紹介です。博史さんは川柳文学コロキュウムの元会員さん。ウィットに富んだ句、現代社会への鋭い目を感じる句、またホッっと温かい川柳まで博史さんならではの作品を楽しませてもらえる一冊です。本のタイトルは句集のラストに置かれた一句〈ほぼほぼとほぼはほぼほぼほぼ同じ〉から取られたようですが、ちょっと舌を噛んでしまいそう。でもこれも博史さんらしさですね。博史さんといえば御著書の川柳の神様シリーズの最新版、『川柳の神様Ⅲ』も一句一句についての味わい深い鑑賞文は読み応えがあります、ぜひこちらの方もご一読を。
ー令和川柳選書『ほぼほぼとほほ』ー
第一章「季節の中で」
綿毛吹くいまだ寅さんにはなれず
広重の雨よ情けを衝く勿れ
流しそうめん箸でつまむと草書体
汗顔の至りへゴーヤ熟れてくる
かき氷恋は迷入入りとなる
鴨はみなアイロンがけをして泳ぐ
冬という一字マントにくるまって
第二章「季節を超えて」
開いては閉じてシンクロ蝶番
裁ち鋏水面を行く鰐の口
漬物石じっとしているのが仕事
食洗器毎度毎度の暴風雨
畳の目山があるから谷がある
バーコード曲がったことは大嫌い
猫を抱くように奏でるマンドリン
第三章「私は私」
見つめれば心を照らすナツメ球
横歩き蟹はいつでも傍観者
ソーラーパネル素直に我慢する角度
防潮堤万里の長城が透ける
影たちが集まる真夜中のベンチ
小糠雨老いは静かにやって来る
元気は正義アンパンマンは不滅