(句集の表紙写真は京成バラ園です:柳山撮影)
渡辺柳山川柳句集『こころの調べ』
~人生の感慨を五七五に託して~
■ 第二川柳句集『こころの調べ』の刊行
このたび、渡辺柳山の第二川柳句集『こころの調べ』を、新葉館出版より上梓致しました。本句集は、月刊『川柳マガジン』通巻300号を記念して企画された「全国川柳作家集」シリーズの一冊として出版されたものです。第一川柳句集『憩いのひととき』に続く第二句集となり、これまでの川柳活動の中で詠み重ねてきた作品から300句を選び、一冊にまとめました。川柳を始めてから今日まで、多くの柳友との出会いがあり、句会や大会での交流を通じて、さまざまなことを学んできました。川柳は、日常の何気ない出来事から人生の深い感慨まで、わずか十七音で表現できる素晴らしい文芸です。今回の句集には、そうした川柳の魅力と、これまで歩んできた私自身の人生への思いを込めています。
■ 『こころの調べ』という題名に込めた思い
句集の題名を『こころの調べ』としたのには、私なりの思いがあります。人の心には、喜び、悲しみ、怒り、感動、希望など、さまざまな感情が生まれます。それらの感情は、あたかも音楽の旋律のように、ときには明るく、ときには静かに、人生の中で響き合っています。「心」という漢字ではなく、あえて柔らかなひらがなの「こころ」としたのも、人間の温もりや優しさを大切にしたかったからです。『こころの調べ』には、そんな思いを込めています。
■ 300句に込めた人生と社会へのまなざし
本句集には、日々の暮らしの中で感じた喜怒哀楽をはじめ、家族への愛情、人と人との絆、人生の機微、そして社会や時代への思いを詠んだ作品を収録しています。川柳には、人生を温かく見つめる一面と、社会の矛盾を鋭く風刺する一面があります。家庭での何気ない会話や、思わず笑みがこぼれる出来事も、視点を変えることで川柳の題材になります。一方、戦争や平和、地球温暖化、環境問題、政治や社会の動きなど、現代を生きる私たちが考えなければならない問題も、川柳にとって大切なテーマです。私は、難解な言葉を使うよりも、誰もが理解できる平易な言葉で、読み手の心に響く川柳を詠みたいと考えています。そして、単なる状況説明や予定調和の表現にとどまらず、独自の発想や意外性、ユーモアを大切にすることを心掛けています。
■ 『こころの調べ』から五句をご紹介
ここで、本句集に収録されている作品の中から、五句をご紹介します。
日々感謝運と出会いの人生譜
人生に運・不運はつきものです。良い意味での運を大切にし、また人との出会いも人生の中では大切です。その思いを川柳で詠んでみました。
川柳の学び尽くせぬ奥深さ
川柳は、学べば学ぶほど新しい発見があります。十七音という短い文芸でありながら、その表現の世界は実に奥深いものです。
今日もまた森林火災温暖化
地球温暖化による環境問題への危機感を詠んだ一句です。川柳には、現代社会の問題を端的に伝える力があります。
一目惚れ鼓動高鳴り不整脈
恋のときめきを医学的な言葉に置き換えたユーモア川柳です。川柳ならではの意外性を楽しんでいただければと思います。
指揮棒の微かな動きマエストロ
趣味でフルートアンサンブルを楽しんでいますが、指揮者の微かな動きに音楽も微妙に反応して音楽を奏でます。そんな音楽の繊細さをこの句に託して詠んでみました。
■ 川柳と音楽、そして映像の世界
私の創作活動には、川柳のほかに音楽と映像という大切な世界があります。長年親しんできたフルート演奏では、音の強弱や間の取り方、旋律の流れによって曲の印象が大きく変わります。川柳にも、これと似たところがあります。同じ題材でも、言葉の選び方や配置、結びの表現によって、作品の印象は大きく変化します。また、映像制作では、被写体をどの角度から捉えるかによって、見る人に伝わる印象が変わります。川柳も同様に、物事をどの視点から見つめるかが大切です。音楽で培った感性、映像で学んだ観察力、そして人生経験から生まれる感情が、私の川柳創作を支えているように思います。
■ 川柳を通じて広がる人との絆
川柳を続けていると、多くの柳友との出会いがあります。各地の川柳会や句会、川柳大会に参加する中で、さまざまな方々からご指導や励ましをいただいてきました。同じ課題から生まれた作品であっても、作者によって発想も表現も異なります。その違いに触れることが、川柳を学ぶ大きな喜びになっています。今回の句集は、私一人の力で生まれたものではありません。これまでお世話になった多くの柳友の皆様との交流があってこそ、形にすることができたものだと思います。この場をお借りして、心から感謝申し上げます。
■ まとめ~川柳は人生の応援歌~
人生には、楽しいことばかりではなく、悲しいことや苦しいこともあります。しかし、そうした出来事も、川柳という文芸を通して見つめ直すことで、新しい意味や発見が生まれます。ときには笑い、ときには考え、ときには心を温めてくれる。それが川柳の魅力ではないでしょうか。七十代半ばを迎えた今、川柳は私にとって日々の暮らしに潤いを与えてくれる大切な存在となっています。第二川柳句集『こころの調べ』が、手に取ってくださった皆様の心に、ささやかな余韻を残すことができれば、作者としてこれ以上の喜びはありません。これからも人間への温かなまなざしを忘れず、斬新な発想とユーモアを大切にしながら、川柳の奥深い世界を楽しんでいきたいと思います。川柳は人生の応援歌です。これからも柳友の皆様とともに、心に響く一句を求めて歩んでいきたいと思います。
柳山
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