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正しい句箋の書き方

――大切な一句を、正しく選者へ届けるために――

 すでに句会に参加している方には今更ということになりますが、これから句会に参加してみようという方のために正しい句箋の書き方についてまとめてみます。毎月の句会では、自分の作品を「句箋」と呼ばれる用紙に書いて投句します。どれほど優れた一句でも、文字が読みにくかったり、決められた形式を守っていなかったりすると、選者に正しく伝わりません。

 句箋は、作者と選者を結ぶ大切な橋です。基本的な書き方を身につけ、心を込めて仕上げた一句を気持ちよく届けましょう。ここでは毎月開催される句会での句箋についてまとめてみます。川柳大会や誌上大会の場合はまた違った規定(着到番号記載の句箋を使用する等)などがありますのでまたの機会にまとめます。

【1】句会所定の句箋を使用する

各句会では受付の際に、その会で使用している句箋を用意しています。その句箋を受け取りその用紙に自分の句を書いて提出となります。通常、披講の開始までに1時間はとりますのでその時間を利用して句を書いて所定の句箋箱に投句します。どちらの句会も句箋のサイズはそれほど違いはないのですが、「川柳研究社」ではやや幅の広い句箋を使っています。また「川柳きやり」ではグリーンの句箋を使用します。従ってその句会で使用している句箋で提出することが大切です。特に自宅で事前に句箋を用意する場合はあらかじめ参加する句会の句箋と同じものかを確認する必要があります。

【2】文字は楷書ではっきりと書く

 句箋で最も大切なのは、選者がひと目で正しく読めることです。文字を崩しすぎず、一字一字を楷書で丁寧に書きましょう。達筆である必要はありません。上手な字よりも、読みやすく、誤読されない字であることが重要です。俳句などでは旧仮名遣いを使用する場合もありますが、川柳は基本的に現代仮名遣いでの記載となります。

【3】基本的にフリガナ(ルビ)は付けない

句箋に書いた文字に基本的にはフリガナ(ルビ)は付けない。ただ難しい固有名詞や読み方によって音字が異なり五七五にならないなどの場合にフリガナをつける場合があります。これも選者によりますが、フリガナをつけた句は採らないという選者もいます。そこまで厳格にする必要はないと思いますが、そのような選者の場合にはフリガナは避けたほうが良いでしょう。

【4】句箋の上を二センチほど空ける

 句を書き始める位置は、上部を二センチほど空けてから書き始めます。句箋の上部は、選者が印を付けたり、入選後の整理や綴じ込みに使ったりすることがあります。余白を設けることは、句会運営への心遣いでもあります。反対に、上を空けすぎると一句が下に寄ってしまいます。全体の釣り合いを見ながら、二センチ程度を目安に整えましょう。文字が小さすぎて読みにくいのも問題ですが、逆に句箋からはみ出すほどに大きく書く方もいますが、これも程度問題ですが、大きすぎるのもかえって読みづらいものです。やはり適度な大きさで記載することが大切です。

【5】一句は一行で続けて書く

 川柳は五・七・五を基本としますが、句箋に書くときは、上五・中七・下五の間を空けず、一行で続けて書くのが基本です。たとえば、「読み聞かせ 言葉の森は 母の膝」のように三つに区切るのではなく、「読み聞かせ言葉の森は母の膝」と一行で書きます。五・七・五の間に空白を入れたり、三行に分けたりすると、句の流れやリズムを損なうことがあります。選者には、一句全体を自然な呼吸で読んでもらうことが大切です。ただし、会話文などで表現上必要な括弧や句読点がある場合は、その句の意図に応じて使用します。装飾的な記号はなるべく避け、簡潔に書きましょう。「一字空け」については作者の意図で使用する場合もありますが、基本は空白をいれずに一行での記載となります。

【6】参加者は自分の名前を書かない

 通常句会では、公平な選句を行うため、参加者は句箋に自分の名前を書きません。作者名が記載されていると、選者が先入観を持つ可能性があります。無記名で選句し、入選句が披講された際に作者本人が名乗る(呼名)のが、川柳句会の基本的な仕組みです。

 但し欠席投句などの場合は作者(詠者)が会場に参加していませんので呼名ができません。そのため欠席投句は自分の名前(雅号)を裏面に記載しておきます。各句会の投句担当者が当日の句箋箱に欠席投句の方の句箋も入れることになります。担当者が違った課題の句箋箱にいれないよう裏面には課題も書いておくと良いでしょう。ただし、誌上大会、郵送投句、事前投句、互選句会などでは、所定の記入を求められる場合がありますので必ずその指示を優先してください。

【7】記入は濃い目の鉛筆を使用する(2B~6B程度)

 どちらの句会も鉛筆を使用しての句箋記入となります。鉛筆の濃さも特に指定はありませんが、濃い目の鉛筆を使用します。通常2B~6B程度の濃さの鉛筆を使用します。ボールペンや万年筆などは使用しません。句会に参加する際は「川柳句会専用の筆箱」を持参することをお勧めします。その筆箱には使用する鉛筆を6本程度入れておきます。また消しゴムは必須です。推敲の際に使用します。別の句箋に書き直してもよいですが、通常受付で渡される句箋の数は課題数に合わせて配布されますので予備がありません。また赤鉛筆または赤のボールペンも必須です。これは選者を担当した場合に入賞句の記載などに使用します。そのまま黒の鉛筆で投句された句箋に記載しますと本人のものと見分けできなくなりますので特に選者の場合に注意が必要です。

【8】投句する前に必ず読み返す

  句箋を書き終えたら、すぐに投句箱へ入れず次の点を確認しましょう。

  • 誤字や脱字はないか
  • 中八や下六になっていないか
  • 文字ははっきり読めるか
  • 濁点や送り仮名に間違いはないか
  • 一句が一行で書かれているか
  • 五・七・五の間に不要な空白がないか(意図的な一字空けは除く)
  • 上部に二センチほどの余白があるか
  • 名前を書いていないか(欠席投句の場合を除く)
  • 課題や投句箱を間違えていないか
  • 指定された投句数を守っているか

 声に出さず、心の中でもう一度読んでみると、脱字や不自然な表現に気づくことがあります。投句前の確認はしっかり時間を取り確認をしましょう。

句会の決まりを最優先に

 ここまで紹介したのは、一般的な句箋の書き方です。句会によっては、句箋のサイズや色など独自の句箋を使用している場合がありますので、参加する句会の決まりを最優先で対応する必要があります。新規加入者の場合には受付で配られる句会案内をよく読み、分からないことがあれば、投句する前に係の方へ確認しましょう。慣れている人ほど思い込みで書いてしまうことがあります。毎回、規定を確かめる習慣が大切です。

句箋にも一句への心を込めて

 句箋は、単なる投句用紙ではありません。作者が推敲を重ねた一句を、初めて選者へ届ける場所です。楷書ではっきりと書く。上を二センチほど空ける。句は間を空けず一行で書く。そして、参加者は名前を書かない。この基本を守るだけで、句は見やすくなり、選句や披講も円滑に進みます。美しい字でなくても構いません。選者に正しく読んでもらいたいという気持ちは、丁寧な句箋に自然と表れます。心を込めて詠んだ一句だからこそ、最後の一字まで大切に書き、気持ちよく投句したいものです。

柳山

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