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 子供の頃は配達された牛乳を毎朝飲んでいた。我が家は両親と姉と私の4人家族。姉は牛乳が何故か嫌いだった(多分70歳近くになる今もそうだと思う)。1合180CCの瓶入り牛乳を1本、同じく小さな瓶入りのヨーグルトが毎日早朝に我が家の軒先に配達されていた。冷蔵庫など一般家庭にはまだ普及されてなかった時代、1本の牛乳は朝食後父親と分け合って飲んでいた。ヨーグルトは母親が食べていた。
 当時の牛乳は、味が一定していなかったことをはっきり憶えている。何と表現したらいいのか分からないが、鮮度の違いが味に出ていたのかもしれない。母親のヨーグルトも固まり具合にブレがあって、私は口にしていなかったが、たまに固まっていない時があったのを憶えている。牛乳もヨーグルトも、紙製の瓶の蓋はめんこにして遊んでいた。「めんこ」は標準語、こちらでは「ぱー」と呼んでいた。
 中学校に入ると弁当持参の毎日だったが、お昼には瓶入りの牛乳が支給されていた。これも冷蔵庫など無かったので飲む時には既に生ぬるかった。そして味も一定ではなかった。姉は鼻をつまんで嫌々毎日飲んでいたという。学校で1本飲むので、家では飲まなくなった。配達の牛乳は1本全部を父親が飲んでいたと思う。
 高校時代はお昼に牛乳は出なかった。どういうふうに牛乳を飲んでいたのか記憶にない。配達の牛乳を2本に増やして、父親と私で1本ずつ飲んでいたのだろうか。親元を離れた大学生活になると、自動販売機やスーパーで500mlの紙バックの牛乳をよく買っていた記憶がある。昭和50年代のその頃には牛乳の味も一定になっていたのではないか。
 配達の牛乳のことではっきり憶えているのは、お金の支払いが年末だったことである。大晦日に牛乳屋の主人が夕刻にやって来て、1年分の代金を支払う。茶の間に上がっては親たちと炬燵で世間話をしながらお金のやりとりをしていた。恒例行事みたいなものだった。
 配達日に休みが入ったことも憶えている。毎日、1年365日配達していたようだったが、やはり大変な労働だったのだろう。昭和40年代になると、週に1日程度の配達しない日が設けられ、その日の前日には2日分の量の牛乳が配達された。紙パックだったような記憶がある。その頃には我が家にも冷蔵庫があったので何日も保存できるようになっていた。
 今の私が毎朝マグカップで飲む牛乳の量は約2合、360cc近くあるのではないか。瓶入り時代の倍である。思えばコーラだって、昔の瓶入りレギュラーサイズは200ccもなかった。今の缶入り(かつてはアメリカンサイズと言われていた)は350ccの量が定番か。日本人の胃袋も欧米人並みの大きさに近づいてきた。紙パック入りのヨーグルトだけが、昔の瓶入りとあまり量が変わっていないことにふと気づいた。

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