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 以前、チェビシェフの定理のことについて書いたが(2020年8月13日 チェビシェフの定理について | 三上博史ブログ (shinyokan.jp)、今度はピレンヌテーゼである。何か難解な学術用語を持ってきて恐縮であるが、私の話しは一つも難しくはない。
 私が大学2年生の頃のことである。高校時代の友人が私とは別の東京の大学へ通っていて、体育会のヨット部で日々学生生活を楽しんでいた。そんな訳で友人はキャンパスへ行って勉強する暇などはない。いよいよ定期試験の時期がやって来て、教養科目の西洋史でレポート提出の課題が出された。「ピレンヌテーゼについて論ぜよ」というものだった。そして私に手伝ってくれという連絡が慌てて入った。要は、俺は授業に出ていないのでサッパリ分からない、お前が調べてレポート用紙に書いて持って来いという訳である。
 当時は勿論インターネットなどは無い。物事を調べるにはまず図書館である。当時の図書館は大学図書館より区立などの公共図書館の方が使いやすかった。それはいろいろな出版社から出ている百科事典が書棚にいくつもずらっと揃って置かれていたからである。頼まれた私は早速下宿近くの区立図書館へ行って調べた。
 該当する重たい事典を何冊も書棚から取り出して、丸写しするには適当なボリュームの文章を抜き出そうとした。いくつか当たったのだが、何と某有名百科事典に書かれていた内容が別の百科事典の記述とほとんど、いや多分全く同じだったのである。その時はさほど驚かなかった。盗用とか剽窃とか、著作権のことについては疎かったからである。でも友達には一応そのことは話した。案の定、そんなことには全く関心を示さず、手伝ってくれてとりあえず形になったレポートを手に入れて素直に喜んでいた。
 その後、大学を卒業するまでにいろいろなことを学んだが、百科事典の剽窃(厳密には丸写しの盗用に当たるだろう)は悪質なものであることが分かってきた。おそらく今だったら、発覚すれば大問題になるはすだ。ネットなどなかった頃は、こんなことが結構あったのかもしれない。
 その後、英語の勉強のためにTIMEやNewsweekを定期購読したことがあった。しかしいくら頑張ってもなかなか記事が理解できない、読み込めない。日本のことを話題にしたものだけが辛うじて理解できる程度だった。ある時、アメリカの夏の熱波(猛暑)のことを話題にした記事に出合った。それから書店の立ち読みで何気に某新聞社系の週刊誌を開いてみると、同じようなことが日本語で書かれているではないか。早速この週刊誌を買って丹念に読み比べてみると、これパクリじゃんとすぐ判った。私の英語力程度でも判明できるようなことを大新聞の週刊誌がやっちまっていることに誰も気づいていないのだろうか。この程度のことは日常的にはよくあることなのだろうか。当時の私も自分なりに疑問を持った。
 これも今だったら、すぐにバレてしまうことだろう。ネット以前の情報社会にはどうしてもこのようなルーズなところがあった。そのルーズさが今は全く許されない。ある意味では不寛容過ぎるところが出ている世の中になっている。盗作や剽窃は決して許されることではないが、あまりに不寛容過ぎるのもいかがなものかという気も少しはする。
 話しを戻すと「ピレンヌテーゼ」は、ネットで調べればすぐに出てくる。ただし、あまりに難解で、少なくとも今の私には読んでも何のことかさっぱり分からない。

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