テレビアニメの鉄腕アトムは、子供の頃、茶の間のテレビに齧り付くようにして毎回必ず真剣に視聴していた。雑誌に連載された漫画も読むことはあったが、アニメが一番面白く感じられた。
その頃、画面を観ながら疑問に思ったのはアトムの頭に生えている角(つの)のことだった。角は2本なのだが、見る角度、いや正確に言えばアトムの顔の向きによって、私の目には3本(額の上の辺りに1本、両耳の上の辺りに2本)生えているように思えた。それも円錐形のものではなく、手裏剣の刃のような平面にも見えたのである。
この疑問は、ある時おもちゃ屋へ行って、ソフビ人形のアトムを見つけて解決した。細長い円錐形の2本の角がアトムの頭に生えていた。しかし、アニメのアトムの動きを改めてテレビで観ているとやはり不自然である。何でこんな描き方をするのだろうか。この謎はずうっと消えなかった。それから60年以上が経過するが、最近になってYahoo!知恵袋で何気なく調べてみると、こんな質問と回答があった。
〇 質問の内容は概ね以下のとおり(2009.2.23)
[アニメ「鉄腕アトム」の頭のツノ(デッパリ)は正面から見るとどうなっているのですか? ずっと前から不思議に思っているんですが、アニメ「鉄腕アトム」の頭に尖っているツノ(デッパリ)は人形で見ると右目の上と左耳の後ろにあります。(アニメの画もそう見えます) 二本しかありませんが、これは正面から見た顔でなく、左側から見た顔です。(人形では左側から見たものしかありません) ところが、たまに右側から見た画がありますが、やはりツノは二本です(この場合は左目の上と右耳の後ろにあります)。 これらを考えると矛盾があります、ツノが移動しているのでしょうか?正面から見た場合のアトムのツノはどうなっているんでしょうか? 私の考えではツノは三本、つまり頭の額の上に一本、左右の耳の後ろに一本ずつ、これが本当ではないでしょうか?]
〇 この回答として、既にあった同じような質問と回答例(2008.6.29)が改めて載せられていた
[質問/鉄腕アトムのアタマの角の位置はアトムを描く角度によっていろいろに見えますが、二本角の鬼のように両方の耳の上の辺りについてるんですか? それとも、 1本は額の上、もう一本は後頭部についてるんでしょうか? それとも、 アトムの頭は状況に応じて角の位置が変化する構造でしょうか? などと質問をしたら、 手塚治虫大先生が立体造形を考えずいいかげんな絵を描いていたと言えない手塚ファンは、 どんな現実的整合性を持った回答をくれるでしょうか?]
[回答/手塚ファンですが、 あれは「立体造形を考えずいいかげんな絵を描いていた」がほぼ正解ですね。 手塚氏本人は「ミッキーマウスみたいに、どの角度から見ても二本見えるように描いている」と言っているので (本来なら角度によって重なって一つしか見えない場合も有り得るが)無理にして二本描いているのだと]
幼少期から高齢者になるまでの半世紀を超えた歳月の間、ずっと私の頭の隅に疑問として残っていたことが、これで一気に解決した。Copilotでも確認したが、Yahoo!知恵袋の方が名答だった。これであっさり、呆気なく謎が解けた。手塚治虫ファンなら、作品やその制作過程について何でも知り尽くしていることにも感服した。
次に、ちばてつや原作のテレビアニメ「ハリスの旋風(かぜ)」も子供の頃によく観ていた。主人公の石田国松が周囲からよく「国松」「国松くん」と言われていた。それが偶に「石松くん」と呼ばれる場面があった。当時の私は、この使い分けが実に不思議に見えた。「石松くん」は「国松くん」の間違いじゃないの? そう思ったほどだったのである。
タレントなどの呼び名で名字と名前の頭のところをくっ付ける例があり、そういう世間のやり方(慣例)を学ぶようになって、「石松くん」も同じように石田と国松を縮めてそう呼ばれていたのだと気づいたのは、中学生・高校生になってからのことである。小学生レベルだと、そんなことでもなかなか理解できなかった(少なくとも私は)。
この呼び名問題も今更ながら改めてネットで検索してみた。いろいろな質問サイトに当たったが、満足するような回答は出てこなかった。Copilotでも質問したが、明確な理由を説明したものはなかった。
思えば、子供の頃の思考回路は疑問だらけだった。ネットもないので疑問は疑問のままフェイドアウトされてしまう。いつまでもしぶとく頭に残っていれば、偶然何かの時に、その答えに遭遇することもある。しかしこの確率は極めて低い。
今の世の中はスマホを片手に持てば、向かうところ敵なしの世界である。自分の頭がもやもやした疑問だらけの状態は耐えられない。裏返せば、辛抱が足りなくなっている。素朴な疑問を抱え込み続ける内面の世界は、現代人の心の中にはもう存在しない。
Loading...

















































