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   徳利の首

                             川柳作家 三上 博史

 お銚子と徳利の違いをネットで調べると、銚子の方は、結婚式の三々九度の際に使われる急須の形が本来のものと説明されていた。他方徳利は醤油や酢などの調味料入れとして利用され、2〜3升入れられる大きなものだった。
 江戸時代に、酒を入れる容器は銚子から1~2合程度が入る小さな徳利へと変化し、これが広く普及し始めた。しかし、かつて酒と言えば銚子から注ぐものだったことから、徳利になっても相変わらず銚子と呼ぶようになったらしい。ちなみに徳利の語源には、「とくりとくり」と注ぐ擬音語から来ているという説がある。
 昭和時代の飲み会では、まず瓶ビールを注いで乾杯し、それから燗酒を頼むのが一般的だった。今でこそ、酎ハイやハイボールなど、飲兵衛の好みも多様性の時代になったが、当時は宴も闌(たけなわ)になってくると、空になった徳利が何本も卓の上で横に寝かせられた。幹事がそれらに気づいて、まだ飲み足りないかを確認したものだった。
 そんな光景になれば、酔いに任せた会話は実に諄い。自慢話や噂話の繰り返し、日頃の愚痴やぼやきの堂々巡りが延々と続けられる。
 徳利にはくびれがあるので川柳的に擬人化していいだろう。会話の聞き役として徳利も仲間に入れてやったらどうか。無限ループのようなやりとりを直立不動あるいはごろりと横になって、徳利は冷ややかに眺めているはずだ。

  徳利の首は正気のままでいる   博史

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