前回から続きのようになるが、我が家の応接間にはステレオもあった。レコードプレーヤー・アンプ・チューナーなどとこれを挟んだ左右二つのスピーカーからなる、いわゆるセパレートタイプのものである。昭和時代は、百科事典の他にステレオも応接間に置いていた家庭は多かった。ステレオは百科事典と違って飾り物ではなかった。我が家のステレオも散々聴いて楽しんだ。
ステレオにまつわる話しをすると、これまたはっきりした記憶が残っている。小学6年生の頃だったか、医者で裕福な家の友達の誕生パーティーがあった。自宅に行ってご馳走をいただき、トランプなどのゲームをして遊んだ。しばらくするとその友達がステレオを聴かせてくれた。クラシックのLP盤をターンテーブルに置く。針を落として流れる音質に私は即座に感動してしまった。何という音響なのだろう。まるでコンサート会場にいるような臨場感である(当時の私はそんなところに行ったこともないはずだが)。音楽の授業などで習う名曲だったが、その音楽の素晴らしさにびっくり仰天して、いつか自分の家にも欲しいなぁと思った。
中学校に入り、それが素直に実現した。中間テストの成績が予想外に良かったので、父親にせがんでみたらすんなり買ってくれたのである。値段的にはさほど高価な部類に入るものではなかったが、一応は木目調の流行りのセパレートタイプだった。モノラルのプレーヤーとステレオとでは全く音質が異なること、まさに立体音響であることに改めて気がついた。
それからレコード収集が始まった。EPのいわゆるドーナツ盤は400円、LPは2,000円くらいだったか。限られたお小遣いから捻出したお金を持ってレコード店へ行ったものだった。
その後CDなどのデジタル音響が主流になってしまったが、アナログのレコードの音質は今でも忘れられない。特に音楽が始まる前、終わった後の静寂感が堪らなくいい。レコードの溝を走り続ける針の健気な働きを思い出すと、まさに昭和の頃は誰もがそんな感じで直向きに暮らしていたのだと感慨深くなってくる。
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