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 いよいよぼくの番が近づいてきた。えーい、やけっぱち。そうかくごを決めていたら、先生がぼくのところへやって来てこう言った。
「とび箱をとぼうとしないで、とび箱におしりをのせようと走って行ってごらん。いいね。むりしちゃだめだよ。走って両手をついたら、おしりをとび箱にのせるんだ」
 そう言われても、ぼくのやけっぱちはおさまっていなかった。走って行って思いきりふみきり板をふんだ。言われたとおり両手をついておしりをとび箱にのせようとした。そうしたらとび箱の横に来ていた先生が、少し腰をかがめていて、いきなりにゅっと右腕を出し、ぼくのおしりを手でたたいた。あれっと思ったしゅんかん、おしりはとび箱にのらずとび箱をこえ、ぼくはしりもちをついて着地した。でもとび箱がとべたようだった。また自分の列にもどったら、前にとんでいた友だちが「とべるようになったじゃん」と言ってくれた。それ以外の仲間も「そうだ。そうだ」「よかった。よかった」と喜んでくれた。ママも見ていてくれたと思う。
 そのあと、何度か先生におしりをたたいてもらったが、しりもちはつかず着地できるようになり、さらに先生にたたいてもらわなくても、こわがらずにとび箱をとべるようになった。手のつきかたや着地のコツも覚え、自信もついた。それから何度も何度もとび箱をとんだ。クラスのみんなも楽しそうにとんでいることに気がついた。
授業が終わってなにげなく空を見上げると、いつの間にか青空が広がっていた。とび箱がとべた空がこんなに青いなんて…。ぼくはやっとこの小学校のこのクラスの生徒になった気がした。〈終わり〉

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