万歩計(これは商品名なので「歩数計」と言った方が適切なのかもしれないが)を着け始めて20年以上になる。きっかけは川柳大会の賞品だった。当時はまだ40代前半だったので、こんなものが何に役立つのかと見向きもせず放っておいた。その後、人間ドックで尿酸値が高くなったことが判明し、運動しなければいけないと謙虚に考え直して着用するようになった次第である。
万歩計と称するから、やはり1日1万歩は歩きたい。これを目指すには散歩をしないと達成はできない。夕食後に30分程度歩くように心がけると難なくこの目標は達成できた。
1万歩達成には、まず散歩前の歩数が5,000歩前後に達していないと難しいことも判った。ということで昼間の仕事中もなるべく歩くように努めた。デスクワークがメインの業務なので、いろいろな用件で先方に出向いたり、各部門を歩き回る必要が出てきた場合には無精しないようにしたのである。
万歩計は電池池交換を繰り返しても大体数年で壊れてしまうものがほとんどである。何かの景品やもらい物で万歩計が手に入ることが度々あった。これらを有り難く使って、万歩計は何度も代替わりした。そしてケータイをガラケーからスマホに乗り替えると、アプリの歩数計算機能を使うようになり、万歩計単体の着用は終了となった。
スマホの歩数計算には欠点がある。とにかくスマホを携帯しないと計算されない。これは当たり前のことだが、ちょっと近くのポストまで郵便を投函しに行ったり、家の中をうろうろ歩いたりする時の歩数が計算されない。細かいことだが、これはロスである。でも1日の記録がデータとして残り、1週間や1か月間の平均値などを割り出してくれることは便利である。
体重計は、10数年前にデジタル表示のものを娘がどこかからただでもらってきた。これを使わないのは勿体ないと思い、朝起きて測るようにした。これで日々の体重管理は出来るようになった。自分の体重の変化について、毎日測定して気がついたことは、1週間のうち月曜日が一番重いということである。土日に必ず晩酌していたので当然食べる量も多くなる。それが素直に月曜の朝の計測へ反映される訳である。金曜あたりが週で一番体の軽い曜日となる。この1週間単位の推移の傾向は、土曜にしか酒を飲まなくなった現在でも変わっていない。
歩数も体重も日々測るだけでなくその記録もずっと残しておきたいと思うようになり、数年前から書き込みできるカレンダーにそれぞれのデータを書き記すようになった。月が替わると剝がされてしまうタイプのものだと記録があっさりなくなってしまうので、捲るタイプのカレンダーに書いている。このカレンダーだけは年末に処分するようなことはしていない。そうすることにためらいがあるので、書き記し始めた年からのものは今でも一応保存している。もっとも見返すようなことはほとんどしていないが…。
カレンダーと言えば、若い時分から枕元に卓上カレンダーを置いていた。プライベートなスケジュール(飲み会とかマラソン大会とか川柳大会など)を赤ペンで書き込んで、寝る前に翌日以降の予定を確認する習慣があったのである。年が変わると新しいものに替えていたのだが、60歳の退職後から、古くなった前年のものを保存するようになった。
理由はズバリ記憶の衰えである。過去のことを思い起こそうとしても、それが例えば一体何年前の夏だったのか冬だったのか、いくら考えても思い出せなくなることが多くなってきたからである。特に定年後は無職の年金暮らしなので、日常生活のメリハリがなくなってきている。
記憶力は比較的いい方だと密かに自負していたのだが、やはり年齢には勝てない。そんな訳で、何年前の出来事だったのか過去の卓上カレンダーを読み返す。ちょっとしたこと、例えば家電製品を買い換えたことなども書き込んであるので、何か必要があれば確認することができる。些細なことでも何年前のことだったのかが気になり始めると、それがはっきりするまでなかなかそのことが頭から離れない。私はそんな性分なのである。
数年前から、日記代わりに1日に起きた出来事を卓上カレンダーに書き込むことが増えてきた。齢を重ねて、何につけ書いておきたいメモ魔的人間になった。しかしこれは記憶機能の低下をうまく補ってくれている。
最後に現役時代の話題を一つ紹介したい。50代で認知症になった先輩のAさんのことである。入職した時に同じ部門で働いていたこともあり、職場内で会うといつも雑談するような関係だった。ある時、たまたまAさんがいる課へ出向く用件があった。その用件が済んでAさんが座っているデスクへ挨拶に行った。つまらぬお喋りをしていると、デスクトップパソコンの液晶ディスプレイの枠に、メモ書きの付箋紙がいくつも貼ってあるのに気がついた。それを見ながら何気なく「いろいろと忙しそうですね」と語りかけると、「最近物忘れがひどくってさぁ、こうしないと忘れちゃうんだよ」と苦笑いしていた。
その後、後輩の一人が何かの雑談の時にAさんの話題を持ち出してきた。「階段でAさんを見かけたら、昇り方が遅いんですよね。それも手すりに摑まって昇っていたんで驚きました」私ははっとした。数日前、NHKのドキュメンタリー番組で認知症のことが放映されていた。認知症はまず頭から症状が出ると思い込みがちであるが、実は歩行にもしっかり現れることを紹介していた。アメリカでは、それを検査する機器もあるらしい。その番組のことを思い出して、Aさんは認知症ではないか、ピンときたのである。まさか当人にそのことを言う訳もいかなかったが、数年後それがやはり本当であることが判った。Aさんは定年後の雇用延長の期間中に亡くなった。
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