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 昨年の秋、詩を書いている文芸仲間から、99歳で亡くなられたお父さんの衣類を頂戴した。遺品を整理していて、捨てて処分するには忍びない、勿体ないと、新品のセーターやポロシャツ、肌着などを段ボール箱で送ってくれたのである。
 夏物に冬物といろいろあったが、すべて有効活用して機会があるたびに着用している。チョッキのセーター、ジャンパーなどは買おうかと以前から考えていたものだったので大変重宝した。経済的にも助かった。
 肌着には半袖シャツやブリーフなどのほかにステテコが2着あった。さすがにこれは穿かないなぁと思った。昭和時代の子供の頃、ステテコに毛糸の腹巻姿でタバコの煙を吹かす中高年男性の光景を街中でよく目にした。ステテコは肌着の部類に入るのだろうが、これを穿いたまま平気で外出する人もいた。私の父親も夏場はこの姿で近所のお店へ行ったり、自転車に乗っていた。その記憶は今もきちんと残っている。
 猛暑が過ぎて少し冷えてきた頃、ふとこれを穿いてみる気になった。このままにしておくのは勿体ない。まさに箪笥の肥やしになってしまう。夜にパジャマの下に穿くのは少し暑苦しいだろうと、日中の外出の際に試してみた。
 案外気持ちがいい。深まりゆく秋の寒さを下半身だけでもいくらか防いでくれるところがある。偶に痛くなる膝は確実に温めてくれる。とりあえず2着を交代に穿いていき、冬が近づいてきたら、例年のように股引に替えることにした。
 67歳にして初めてのステテコ。私と同世代でステテコを穿いている人はどれくらいいるのだろうか。うーん、少なくとも私の周りにはいなさそうである。爺むさいというか、おじさん臭さが出るというか、そういう類いのものは今でも敬遠されているのだろうか。ステテコは昭和までのファッションだったのか。そう言えば、平成から令和への時代、腹巻だって着用している人はあまりいなさそうである。

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