Loading...Loading...

新葉館出版から2012年4月23日に発刊された、表題の書「ユーモア川柳の作り方と楽しみ方」は「川柳マガジン」2007年11月号から2010年4月号まで連載された今川乱魚執筆の「ユーモア川柳を楽しむ」を再編集し、書籍化されたものです。白地に朱色の文字帯赤い地に白抜き。ちょっとしたコツがわかればユーモア川柳は誰でも作れると書いてあります。176ページのちょうど中間88ページをご紹介します。

   シニカルな視点でとらえるユーモア川柳

人は見かけでは判断できないが「真面目人間」と「ユーモアの性格」も一見相容れないように見えてそうではないことが少なくない。二宮茂男さんもその組である。川柳絵句集「この指にとまって幸せだったかい」(二宮茂男著、平成16年、新葉館出版)「癒しの川柳と絵のコラボレーション」というキャッチコピーがついているが、その中からユーモア句をご紹介する。句は各ページに一句、それに楽しい絵が添えられている。絵はイメージであって句の説明ではない。二宮さんは川柳「路」吟社幹事である。平成19年12月の東葛川柳会句会に選者として来られ、お目にかかった。その「真面目人間」ぶりは、氏がその前月の句会にも下見にこられた事でわかる。披講も短くお話もまじめそのものであった。

転んだら起きずに少し休みたい   茂男

思い出を束ねて伸びている輪ゴム

石頭だけは隠せぬベレー帽

いじめられたのかも知しれぬ流れ星

これまでも何とかなってきた財布

第一句は転んだ痛みからすぐには起きたくないのが人情であろう。だがよく観察していると、転んだ人は何とか早く起き上がろうとする。照れ隠しがそこにある。第2句は古いラブレターでもあろうか。輪ゴムにこと寄せているが、感情も同じように風化しているに違いない。第3句、一見ダンディーな頭部に見せはするが、中身までは隠せない。第4句流れ星への人類の願いはいろいろあるが、星自身を人間社会に譬えれば惑星からのいじめで追い出されたのかもしれない。第5句痩せた財布をいまさら言っても始まらない。持ち主の身幅に過ぎないこれで何とか生きなければ仕方ないのである。句に添えられた財布の絵は指でマル印を作って笑っている。

どこまでも濁らずにいるイロハニホ

永久に不滅我が家の卵焼き

親と子の間に立てる愛の盾

好きだから少し離れて席を取る

くすぐると泥を吐き出すきれいごと

第一句50音には濁音になる行とならない行がある。いろは歌では濁点を記さない。小さな発見もユーモアの一つである。第2句たかが卵焼きのこと。永久も不滅も大げさな話であるが適度の誇張もユーモア表現となる。かって「ジャイアンツは不滅」と叫んで監督を引退した長嶋茂雄さんは,鯖という字を「魚偏にブルー」といって笑わせたが、子供のような無邪気さも結果としてのユーモアをもたらす。第3句は「愛の鞭」という常套語の差し替えがおかしい。「盾」のほうが非暴力でありながら寄せ付けぬものを持っている。第4句逆説のようだが「少し離れて」に理性が見える。夫婦喧嘩の源は「好きだから」に始まる。第5句様々な体型の中で見過ごされているのは「くすぐり」の刑であろう。この刑を受けなければ洗いざらい白状せざるをえない。

茶柱が立った二人の鉢合わせ

自分史の要所要所に書く拍手

下向いた男に当たる流れ弾

楽しかったことは内緒の空財布

式で泣く女とあとで泣く男

第一句の茶柱は幸運の予兆といわれているがそれはその日限り当人限りの話であって、他人には及ばない。当然茶柱同士の衝突もありえる。理屈の句ではある。第2句自分史などというものは、客観的事実だけを書くのであれば不要であろう。自分のしたことがいかに世のため人のためになったかを書きたいのだる。読者がそれを読み取ってくれないものだから、自らそれを強調する。「拍手」は自画自賛を言っている。第3句教室での体験。先生に刺されたくなくて下を向いていると意地悪く刺されることになる。第4句楽しいことは道徳的とは限らない。不倫もポルノも人に は言いにくい。そして言いにくいことには金がかかるのである。第5句結婚式で泣くのはうれし泣き、所帯を持ってからしばしば悲しい涙にくれるのが男である。ついでながらうれしくも悲しくもなく出る涙を流涙と医師は言う。

二宮さんのユーモアはややシニカル(皮肉な)な視点からのものが多かった、と締めている。

つい楽しいので長々引用してしまいました。

茂男さんは29日京浜大会でご活躍でした。
私は牡丹祭り川柳大会「返事」「当然」の2句のみ

良い返事らしいスマホを握りしめ

赤ちゃんは泣くのが仕事ほっとかれ

ポストする LINEで送る ブックマーク
❤️ ひざポン
ありがとう!

気軽にポチっと
どうぞ(無記名)

ユーモア川柳の作り方と楽しみ方”にコメントをどうぞ

  1. 岡本 恵 on 2015年5月1日 at 6:34 AM :

    紀伊子さん、おはようございます。
    いつも手元にある大切な一冊『この指にとまってしあわせだったかい』がますます愛おしいものになってきました。真面目でユーモアを持ちシニカルな切り口から生まれる茂男先生の作品は、だからこそきっと何十年たっても人間として共感をよぶのですね。改めてじっくりと読み返してみたくなりました。良い勉強をさせて頂いた5月の朝です。ありがとうございます。
    牡丹祭り川柳大会はお天気にも恵まれて何よりでしたね。今日も気持ちの良い一日になりますように!

  2. 太田 紀伊子 on 2015年5月1日 at 7:35 AM :

    岡本恵さん
    おはようございます。早速にお読みいただきましたが句の並びがうまくゆかず読みにくくてすいません。でもいい句集ですね。乱魚師はシニカルな面を強調していましたが・・・。

    憲法川柳ご投稿ありがとうございました。連絡があると思いますよ。3日に千波湖で表彰です。お出かけください。選者体調不調にて代選を頼まれました。一人で83句も出された方がいます。選評を頼まれましたので憲法記念日は水戸の仙波のほとりにいます。
    3日にはここで発表いたします。お楽しみに。

    • 岡本 恵 on 2015年5月2日 at 4:44 PM :

      ピンク色の封筒でうれしいお知らせが届きました。ありがとうございます。明日は水戸へ行けば紀伊子さんにお会いできたのですね・・・もう少し早く分かっていたら何とか出かけられたかもしれないのに、残念です。選評をお聞きしたかったです。
      明日も暑くなりそうですが、お気をつけてお出かけ下さいね。欠席で申し訳ありません・・・m(_ _)m
      盛会をお祈りいたします。

  3. 二宮 茂男 on 2015年5月1日 at 7:47 AM :

    紀伊子さん おはようございます。こんなに、ご丁寧なご紹介。ありがとうございます。が、少々、気恥ずかしい。恐縮です。改めて、乱魚先生に、感謝です。大活躍の日々ですが、忙中閑、快晴の連休をお楽しみ下さい。

    • 太田 紀伊子 on 2015年5月1日 at 11:31 PM :

      二宮茂男様
      朝いただいていましたのにこんなに遅くなって失礼いたしました。今日は晴れたので部屋の片づけをしてました。新聞屋さんにかなり紙とダンボールを出しました。
      茂男さんのユーモア句に解説の乱魚語録が面白いですね。ユーモア句になってかなりのスペースでした。岡本恵さんもおっしゃてますがいい句集ですね。
      今日は時事川柳のテキスト作りをしてから茂男さんのテキストいただきたかったです。
      オーム事件よく書いていただいたのでプリントアウトしました。坂本弁護士の奥様は水戸の肩だったので記憶から消えません。ありがとうございました。

  4. 佐藤 千四 on 2015年5月1日 at 11:00 AM :

    おはようございます。
    改めて「ユーモア川柳の作り方と楽しみ方」88ページを開きました。二宮先生はユーモア句は苦手だと仰っていますが、いやいや、先生の優しさが世知辛い世を鳥瞰する先生の句に私は程のよい品のいいユーモアを感じます。さすが乱魚先生はとうに見破っていらした。
    紀伊子先生が乱魚先生の精神を継承普及なさっていることに敬意を表します。

    血眼で探すユーモア見つからぬ

    • 太田 紀伊子 on 2015年5月1日 at 11:42 PM :

      佐藤千四様
      つい笑ってしまいました。
        血眼で探すユーモア見つからぬ 千四
      ユーモアのお上手な千四さんだからおかしいのですね。作者の呼名を聞いたらよけい楽しくなる句ってありますから。
      御地は桃の花、リンゴの花できれいでしょうね。茨城も大子町のりんごの花を映してました。
      龍ヶ崎は田植え真っ盛り。GWで終わるでしょう。
      乱魚さんの書いたものは分りやすく例句もあるのでテキストにもってこいです。楽をさせていただいています。
      温度差が激しい昨今です体調にお気をつけて春をお楽しみください。

コメントはこちらから

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Post Navigation

Copyright All rights reserved. SHINYOKAN PUBLISHING illustration by Nakaoka.K