先日いつも行くスーパーで買い物をした。まずトマトが1個98円と安く売られていたので、4個を半透明のポリ袋へ詰め、カートに載せたカゴへ入れた。それから他にもいろいろ買うものがあったので店内を動き回り、一通り買いたいものはカゴへ入れてレジへ向かった。
レジでは店員さんが品物を1個ずつ手にとってバーコードを読み取らせる。バーコードの貼られていないトマトの時に、ポリ袋を見ながら「トマト3個ですね」と確認を求めてきたので、思わず「はいっ」と言ってしまった。こういう場合、余計なことは言わない。口を挟まない。
支払いが済んで買った品物をエコバッグに詰め込みながら、トマトは1個分得したなと内心ニンマリした。家に帰って、ポリ袋に入ったトマト4個をいろいろな角度から眺めてみると確かに3個に見えることに気がついた。見事に三角錐になっている。立体的に眺めようとしないと確かに3個にしか見えない。真上から見ると何とか4個に見えるか。でもそんな見方はあまりしない。普通は目線をなるべく水平に近づけて真横から数えるだろう。
こういうラッキーな(変な言い方だが)ことは偶にある。4個を5個と多めにレジ打ちされたら、即「これ数が間違っていますよ」と告げるが、少なく数えて得した時には何も言わない。これが私の買い物のスタイルである。大概の人はそうではないか。いや私は正直者の善人であるから絶対にそのような態度はとらない、欲張らない。こう言い張る人もいるかもしれないが、敢えて私は反論しない。
さて今までの買い物をあれこれ思い返すと、長い人生を生きてきてこんな場面は何度も経験していることに気がつく。だいぶ前、30年以上前のことだが、あるドラッグストアで、支払の際に5千円札を1枚出したら、店員が何を思ったのか1万円札と勘違いしてその分のお釣りをくれたことがあった。当時のレジの機械はお札を識別する機能はまだ付いていなかった。店員の肉眼に頼っていた時代である。その後の私は、レジ袋に買った物をそそくさと詰め込んで帰った。お釣りの金額に5,000円加算された訳だから、こんな嬉しいことはない。今はどこでも機械処理しているのでこういうミスはもうなくなった。いやこんな失敗を店員が繰り返すから、紙幣識別機能の付いた機械の導入が普及したのだろう。
さらにこんなこともあった。やはりかなり前のことであるが、お酒の安売り店へ行った。当時は瓶ビールを飲んでいたので、空き瓶を何本か持って行った。1本5円とか4円とか、そんな金額で引き取ってくれていた。その店の若い女性店員は新人なのか、1本を何と50円くらいに換算して瓶の代金を私に手渡した。どう考えてももらい過ぎである。そのあとビールやお酒を買う予定だったが、そんなことはせず脱兎のごとく家に帰った。そして酒は別の機会に別の安売り店で買い求めた。この店員は後で店長にこっぴどく怒られたのだろうか。そんなことも想像し、少し後ろめたさも感じた。
得した出来事は滅多にないから記憶に残っているのだが、実は損したことも何度かある。以下の話しもよく憶えている。
某ラーメンチェーン店に何度も通い、スタンプカードのスタンプが20個貯まった。そうすると500円のクーポン(金券)を2枚くれる。合計1,000円分である。得した気分になって喜んだ。ある日店に入り、支払いでクーポン1枚を使おうとすると、何を勘違いしたのか、高校生のアルバイトと思しき若い女子店員がお釣りを間違って多く私の手に渡した。即座に「これ多いですよ」と言うと、改めて計算し直して正しい額のお釣りを差し出した。相手の誤りに気づいて素直にそれを指摘してやると、善い行いをしたような実に清々しい気持ちになる。食後の満足感もいや増す。いい経験だった。
そんなこんなでまたそのラーメン店へ行くことがあった。今度はまだ小さかった娘との二人連れ。いざ支払いになった時に、残りのクーポン1枚を取り出した。千円札を2枚と残りのクーポンを手渡す。娘も脇にいたのでそそくさと立ち去ろうとしてお釣りの小銭はそのまま受け取って細かく確認しなかった。しかし車に戻りながら、「あっ、お釣り間違えている」と俄かに気がついた。しかし時既に遅し。レジを離れて店を出てしまっていたので、もう確認しようがない。小銭も財布の中に入ってしまい、お釣りが正確にいくら不足しているかはもう不明である。覆水盆に返らず。店に戻っても仕方がない。ちなみに、その店はレシートを渡さない店だった。
ぐぁーん! なんたることだ! 1回目は正直に間違いを教えてやって爽やかな気分になったというのに、2回目でこっちが損する破目になるとは、何とも皮肉なトホホの結末。店員よ、しっかりやってくれ(同じ店員のしくじりではなかった)。こんな店にもう二度と来るか!と感情が昂ったが、その後もちょくちょく行った。結構美味しかったからである。
こんなどうでもいいことを書き連ねてきて、最後に思い起こしたことがある。学生時代の卒業が近くなった頃、下宿近くの中華料理レストランでアルバイトをしていた。1日数時間、夕方から夜の閉業時刻まで毎日働いていた。シャッターを下ろして閉店になると、若い店長が1日の売上げ金額を毎度確認する。レジの機械は1台。その機械はその日の合計金額を自動的に計算する機能があった。現金とレジの打ち出した数字を突き合わせる。毎回合わない。これが日常である。レジ打ちは複数の者が担当するが、決して誤魔化している訳ではない。そして偶に10日に1日程度、現金と数字がピタリと合うこともあった。その時は、その店長が「今日は合ったぞー!」と叫んで喜んでいた。懐かしい昭和の時代の光景である。
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