どこの事業所にも職場の健康診断が年1回ある。これは労働安全衛生法に基づいてどの事業所にも課され、必ず実施することになっているものだが、私は40歳から外部の人間ドックに切り替えていた。こういうやり方も法令上は問題ない。こうするようになったきっかけは以下の理由による。
60歳の定年まで、5年単位の節目の歳(下一桁に0か5が付く35歳以上の年齢)は、実質無料でドックが受診できる福利厚生制度が私の勤務先にはあった。つまり、40歳という節目にドックを受診すると費用が全額補助されて、自己負担額は0円となる。毎年職場が独自に行っている健康診断が大人数の職員を集中的に捌いて、いささか雑に扱われている印象をかねがね持っていたので、ただならドックの方を受けてみようと思った次第である。
これが案の定懇切丁寧な対応だったので、それ以降、節目以外にも毎年受診するようになった。その場合は5,000円の料金がかかった。この程度の費用なら自腹を切って支払ってもいいだろうと判断したのである。
その後、勤務先のいろいろな財務的事情もあったのだろうが、節目の受診でも自己負担がいくらか発生し、それ以外の時でも料金が更に高くなった。それでも今までドック受診でとりえず健康を維持してきたのだからと続けていた。職場の健康診断に戻る気はしなかったのである。
国民健康保険になった60歳の定年以降もドック受診は変わらない。同じ施設で受けている。費用はさらに高くなり年金暮らしには少々痛い出費であるが、20年も続けているので今更やめられない。
さて結果報告にもいろいろな変遷があった。A(異常なし)からE(治療継続)までの5段階の判定基準はずっとそのままだと思うが、歳を重ねていく自分の体には変化が表れてくる。40代前半はほとんど異常なしだったのが、少しずつ検査項目に黄色や赤色の表示の結果データが多くなった。赤色項目があると医療機関への紹介状が渡される。X線・超音波、採血・採尿などの検査で何か異常が見つかったり、基準値を超えた数字が出たりと、そのたびに医療機関を受診する。
今までにいろいろやったが、下剤を服用して大量に水を飲み、腸の中をすべて空っぽにして検査した大腸ファイバーが一番辛かった。検査そのものは大したことはなかったが、前日から検査当日にかけての下準備がとんでもなく大変だったのである。
何歳まで人間ドックを受診するか、年金生活になってから考え始めた。ある年の受診時に職場の大先輩と偶然出会い、立ち話でたまたまその話題を持ち出したら、自分は72歳の年男まで受けるつもりだと言っていた。現在私は67歳。その大先輩に倣うなら、あと5年は受けることとなる。うーん、少し迷うところがある。もう少し続けようか。でも、ドックへ行くと70歳を過ぎた高齢者と思しき人はあまり見当たらない。受診者は意外と若い層なのである。
人間ドックの功罪がメディアなどでいろいろ話題になる。意味があるのかないのか。毎年受けている人間は本当に健康的で長生きに暮らせるのか。
少なくとも、血圧がかなり高いとか肝機能のデータが基準値を遥かに超えているとか、そういう場合はドックの受診結果を甘く見ない方がいいようである。高齢者となった文芸仲間で脳血管障害を患った者が何人かいたが、いずれも高血圧の持病があってそれを放っておいたと聞いている。私も他人事ではない。
どういう結果であれ、そのデータからは逃げない。何事もきちんと認識して行動する。世の中で認識することが一番大切だと、それをモットーに生きている私としては、人間ドック受診はなかなかやめられないものなのである。
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