曖昧な記憶で恐縮だが、2006年頃に毎年開催されている文化庁主催の著作権講習会を受講した。場所は東京代々木のオリンピックセンターで確か3日間の日程だった。
当時の私は図書館に配属されていた。司書の資格は持っていない。図書館内での文献複写業務の管理運用は著作権に関わることなので司書の資格がないといけないことになっている。しかしこの講習会を受講(テストやレポート提出もある)して修了すれば、著作権を扱う業務については司書と同等になる。そのような理由で東京まで出張して受講させたと記憶している。
講習会はインターネット(電子媒体)時代を踏まえた最新の著作権事情なども紹介されて大変勉強になり、勿論日常業務の参考にもなった。図書館において蔵書である書籍や雑誌をコピーする場合、厳密に言えば図書館職員の立ち合いが必要である。著作権の侵害がないか個々に確認する必要があるからである。公共図書館などで文献のコピーを依頼すると職員の方がやってくれるが割高な料金を取られる。スーパーやコンビニなどで自分がやれば1枚5円か10円程度で済むのにと思うが、図書館の複写機は原則として蔵書のためにあるので、それ以外の何かの書類などをコピーすることは原則として範疇外となる。そして司書が立ち会って、著作権法に違反していないか(例えば一部の複写ならいいが、丸ごとの複写は違法)のチェックが個々に必要なのである。まっ、一応はそういうタテマエになっているのが図書館というところなのである。
講習会で強く印象に残ったことがあった。いわゆる「1953年問題」というものである。以下、Wikipediaを参考にしながら説明してみる。
1953年問題とは、1953年に公開された映画について、日本の著作権法に基づく保護期間が、2003年12月31日をもって終了しているか、あるいは2023年12月31日まで存続するかという、2つの見解が存在した問題である。
1953年は『ローマの休日』や『シェーン』などの名作とされる映画がいくつも公開された年であり、これらの映画の著作権が2023年まで存続するという文化庁の見解が裁判によって覆され、注目されることとなった。2007年12月18日に最高裁判所は、1953年公開の映画については2003年12月31日をもって保護期間が終了したと確定判決を出した。これにより、著作権を主張する原告側の見解が退けられ、この問題に対する決着がついた。
著作権法は2004年1月1日に改正施行され、映画の著作権は公表後50年を経過するまで存続するものと定めていた旧来の規定が70年に延びた。この経過措置について規定の文言に曖昧なところがあったので、このような裁判沙汰になった訳である。
記憶している方はいるだろうか。当時ワンコイン(500円)で、これらの名作がホームセンターやディスカウントショップで盛んに売られていたのである。私の知り合いが何枚も買い求め、観終わってから私にそれらをそっくりくれたことを憶えている。しかし、その後は発売されていない。それは70年の規定が完全に適用されたので販売できなくなったからである。50年だった著作権がいきなり70年に延びた。その端境期に『ローマの休日』や『シェーン』などの名作の複製DVDが著作権切れとして安価に出回った。そういった事態が一時的に起きたということである。
70年に延びた理由は、欧米が既にそのような保護期間になっていて、まさにそれがグローバルスタンダード、日本もこれに合わせて法改正したということなのである。
講習会受講後、日本の著作権の保護期間の歴史を調べると、明治の頃は著者の死後30年だったのが少しずつ延びて50年となり、さらに欧米と同じように70年となった。70年に延ばす法改正にあたっては、外国の超著名な音楽家がわざわざ来日して、日本の著作権保護期間の短さを批判し、こんなことでは文化の進展と芸術家の生活は保障されない、というようなことを強くアピールする報道もあった。そのことははっきり憶えている。
期間が延びたのは外圧に負けたのだ、私はそのように受け止めた。権利を有する者が更に権利を強固に主張する。そして莫大な利益を(必要以上に?)確保する。文化というものも資本主義の貪欲な歯車によって機能しているのである。これが私なりの見解である。
大学や研究機関の図書館では、たくさんの外国の学術雑誌を年間購読している。私も図書館時代その契約を担当し取次店と交渉したことがある。その当時、毎年の値上がり幅というものは凄まじかった。ヨーロッパの某出版社は毎年7%の値上げを平気で提示してきた。物価(経費)の値上がりとか為替リスクとかを考慮して算定するとこういう上げ幅になるという説明を一応は受けるが、どう考えても納得できない。そもそも毎年7%の値上げを複利で計算すると5、6年で1.5倍となる。こんなバカげた話しはない。しかし嫌なら契約するなというのが相手の出方である。これが最先端の研究が発表される一流学術雑誌をいくつも発行する欧米の出版社の経営戦略なのである。資本主義というのは経済活動のすべての分野において貪欲に浸透していることを改めて認識した次第である。そして映画や音楽などの著作権も同じなのである。
日本もこの貪欲さをグローバルスタンダードの名のもとに勉強していかなければならない。それが宿命なのだろう。まったく嫌な世の中、いやグローブ(地球)である。
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