小学生の頃は、鉄人28号と鉄腕アトムがテレビアニメでは人気だった。もちろん私も毎週必ず視聴した。
鉄人28号は確か日曜の夜8時からの放映だった。翌日は学校があるというのにそんな遅い時間帯で子供向けアニメを観させるとは教育上よろしくない、そういう声も上がっていた。それで放送時刻が繰り上がったような記憶がある。
父方の祖母が私のために地元の神社の縁日で、ブリキの鉄人28号をわざわざ買ってくれたことがあった。祖母は私の父を含めて7人の子供を生んで育て、孫は10人以上いる。その中で比較的近所に住んでいた私にこのおもちゃをプレゼントしてくれたのだった。ゼンマイ仕掛けで高さ30cmくらいだったろうか。胴体の濃い青色を今でもはっきり憶えている。自分の親では絶対に買ってくれない高価な代物で大事に扱って遊んだ。
その後これは自分の大事な宝物だと思うようになり、毎日弄って遊ぶことは止めることにした。勿体なかったのである。茶の間にある高い神棚の隅に置いて、遊ぶ時は台所の椅子をわざわざ持ち出して来て取り出すようにしたのである。
しかし、このずっと大切にしようとする子供心が仇となってしまった。当時の母親は、息子もこの玩具にいよいよ飽きてきて、それでそんな高いところに仕舞い込んだのだろうと勘違いしていたのである。
しばらくしたある日、学校から帰って何気なく神棚の方に目をやると、定位置にある鉄人28号のおもちゃ箱が消えている。母親に訊くと、親戚の子供(私よりずっと年下の従弟)にくれてやった、とのこと。それを聞いた後の自分の行動は憶えていない。母をひっぱたいて泣きじゃくったのか。返してもらうようにしてくれと喚いたのか。
でも、この大事件はずっと後を引き摺っていた。そしてようやくフェイドアウトしていく。ぶり返したのは、テレビ番組の「開運!なんでも鑑定団」の放映が始まってからである。当時数百円で買ってもらったあのブリキのおもちゃも、今ではひょっとして数万円ぐらいにはなっているのではないか。鑑定の際の大事な項目の一つである箱も大切に保存していた。うーん、返す返すも勿体なかった。従弟は散々遊んで飽きたら下の弟たちに譲り、そして壊れて動かなくなればきっと処分されていたことだろう。そんな想像もしていた。従弟とはあまり付き合いがなかったので、その後のことはわざわざ確認するようなことはしていない。
他にも処分されてしまったおもちゃはいろいろあったが、鉄人28号の喪失感が一番大きかった。
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